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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第21回(番外編つづき) 日本ワインは成長産業か?(下)自社農園産ブドウが増える マンズワイン小諸ワイナリー(長野県小諸市)


ワイン原料用ブドウの供給は、一般的に、図2のように定式化できる。生食用ブドウの生産者が高齢化した場合、生食用の生産から加工用に切り替えて生産を続けるケースと、もう一つは離農し、その畑を加工用ブドウ生産者が借地し規模拡大するケースがある。したがって、ブドウ農家の減少あるいはブドウ生産の減少は、むしろワイン用ブドウの供給増につながる可能性がある。
もう一つの供給源は“自社畑”である。ワイナリーは原料確保のため、特に欧州系品種の供給を増やすべく、自社農場の拡大に動く。これが、ワイナリーの行動様式である。
つまり、農家の減少、ブドウ生産の減少は、ワイン原料ブドウの減少に直結しないのである。したがって、農家の高齢化は進行しても、日本ワインの未来を悲観的に描く必然性はないのである。

7 原料ブドウの流通

表13に見るように、ワイナリーの原料ブドウは、自社農場からの受入れはわずか15%である。これに対し、契約栽培が49%、購入が35%もある。つまり、日本ワインは流通原料を使って醸造している。自社農場で収穫したブドウでワインを造るフランスのドメーヌ型ワイナリーは少ない。
例えば、ワイン用ブドウの供給産地として知られている長野県高山村の角藤農園(株)は、ブドウを小布施町の小布施ワイナリー、栃木県足利市のココファームワイナリー、新潟県の岩の原葡萄園、山梨県甲府のサドヤに販売している。裏返して言えば、これらの有名ワイナリーは高山村の角藤農園からブドウを購入しているのである(本誌20年7月号、拙稿「現地ルポ」参照)。
なお、ココファームワイナリーの契約栽培は栃木県のほか、北海道余市、山形、長野、山梨、埼玉の5道県に及んでいる。それぞれの土地に適したお得意のブドウを作ってもらっているわけだ(本誌19年10月号、拙稿「現地ルポ」参照)。
表14は地域間の流通を示している。山梨県産のブドウは自県内ワイナリーに86%を納め、14%は他県向け。長野県や北海道は自県内ワイナリーに約90%納め、10%は他県向けである。原料ブドウの過不足を県域を越えた流通で調整している。
これに対し、山形県は他産地と大きく異なる。山形県は自県内向けは67%に過ぎない。つまり、ブドウ過剰になっている。山形県は原料ブドウが余っているので、将来、ワイナリー成長余地が大きいことを意味している。
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