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【Economic eye】
カリブ諸国の国民酒「ラム」 風土色の強いラム、テキーラが海を渡る輸出成長産業に
- 評論家 叶芳和
- 第4回 2020年09月23日
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ラムはサトウキビを原料とする蒸留酒で、カリブ諸島が原産地と言われる。しかし、ラムは南極を除く世界各地で生産され、消費され、一大グローバル・ビジネスになっている(最大の輸出国はアメリカ、2位ドイツ)。ユニバーサルであり、「国民酒」の域を超えている。発展途上国商品と思っていたが意外に面白い。
ラムは、サトウキビの搾り汁を煮詰めて、砂糖を精製分離した後の副産物であるモラセスmolasses(糖蜜)を原料として、発酵・蒸留して造られる(インダストリアル製法)。サトウキビの搾り汁を直接原料とする場合もある(アグリコール製法)。国によって、地方によって違う。なお、糖蜜の段階で輸出入されている量も多く、サトウキビ生産国でなくても、ラムは生産できる。
ラムの歴史はそのまま砂糖の歴史である。カリブ諸島の砂糖は15世紀末、コロンブスがサトウキビを移植した時に始まる。ヨーロッパ人によりプランテーション化が進み、島々をサトウキビ畑に変えた。当初、先住インディオを労働力にしていたが、強制労働と病気でインディオは全滅、そこで、労働力はアフリカの黒人に代わった。16~18世紀の300年間で1,500万人のアフリカ人が奴隷としてカリブに連行された。18世紀末には、カリブの人口構成はアフリカの黒人が9割近くになった。
「砂糖のあるところ、奴隷あり」と言われる状況が生まれたのである。これを促進したのが「三角貿易」だ。ヨーロッパから綿織物をアフリカへ、アフリカから奴隷を中南米カリブへ、カリブから砂糖をヨーロッパへと取引する貿易だ。三角貿易の発展に伴い、16世紀後半、砂糖の生産量が飛躍的に増加し、副産物(糖蜜)の生産も増え、この糖蜜を発酵、蒸留することでラムが誕生した。
ラムは、サトウキビの搾り汁を煮詰めて、砂糖を精製分離した後の副産物であるモラセスmolasses(糖蜜)を原料として、発酵・蒸留して造られる(インダストリアル製法)。サトウキビの搾り汁を直接原料とする場合もある(アグリコール製法)。国によって、地方によって違う。なお、糖蜜の段階で輸出入されている量も多く、サトウキビ生産国でなくても、ラムは生産できる。
ラムの歴史はそのまま砂糖の歴史である。カリブ諸島の砂糖は15世紀末、コロンブスがサトウキビを移植した時に始まる。ヨーロッパ人によりプランテーション化が進み、島々をサトウキビ畑に変えた。当初、先住インディオを労働力にしていたが、強制労働と病気でインディオは全滅、そこで、労働力はアフリカの黒人に代わった。16~18世紀の300年間で1,500万人のアフリカ人が奴隷としてカリブに連行された。18世紀末には、カリブの人口構成はアフリカの黒人が9割近くになった。
「砂糖のあるところ、奴隷あり」と言われる状況が生まれたのである。これを促進したのが「三角貿易」だ。ヨーロッパから綿織物をアフリカへ、アフリカから奴隷を中南米カリブへ、カリブから砂糖をヨーロッパへと取引する貿易だ。三角貿易の発展に伴い、16世紀後半、砂糖の生産量が飛躍的に増加し、副産物(糖蜜)の生産も増え、この糖蜜を発酵、蒸留することでラムが誕生した。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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