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齊藤義崇の令和の乾田直播レポート

理想的な播種と施肥とは~省力栽培ありきから、収量・品質を求める乾直に~


また、種には優劣があると前回説明したが、その個体差は種子選抜(選種)との兼ね合いになる。ホルモン処理で出芽能力を上げるという話も同様である。さらに言えば、種子選抜を厳しくするためには、採種技術を上げることに関係してくる。
稲の種子は、麦類・大豆の種子とともに、主要農作物種子法によって、優良な種子生産と普及を促進するために圃場審査などを行なうことが定められている。私も普及指導員時代には、種子審査員の資格を持ち、人手が足りないときに応援で圃場審査を手伝っていた。採種圃場では、悪い個体を除去する作業を徹底するのだが、移植用品種でも直播用品種でも、移植栽培で行なうことが定められているのだ。直播という厳しい環境で選抜できればと提案したこともあるが、採用されることはなかった。ちなみに、世界的に見れば、穀物の採種は、ほぼ直播栽培で行なわれている。何を言いたいのかは、賢い読者ならおわかりいただけるのではないだろうか。
次に施肥のやり方である。多くの作物は種子に蓄えられた栄養で発芽し、同時に根を生やす。根が伸長したポジションに肥料がある状況が、そこからの成長に最適である。そのために効果的なのは、いわゆる条ごとに施肥する「側条施肥」と呼ばれる方法である。真空播種機、あるいはエアシーダーなどの側条施肥機能を搭載した播種機が開発されているが、手間がかかるというデメリットも持ち合わせる。
これまでは、乾直の命題である省力栽培に沿って、手間がかかる側条施肥ではなく、ブロードキャスター等による全層施肥が推奨されてきた。加えてロングタイプの肥料も開発してもらい、テストを繰り返した。しかし、麦の上手な作り手は、硝安や硝カルなどを適宜追肥している。いまさらながら、施肥方法にも進歩の余地があるのではないだろうか。

理想的な播種を求めると真空播種機が最有力

ここからは、具体的な播種機の話に踏み込もうと思う。海外の稲作は圧倒的に乾直だが、日本同様に稲専用の播種機は開発されていない。その理由は簡単で、その必要がないからだ。穀類や豆類で汎用性の高い播種機を利用できる。私の周りで修練を重ねている乾直人の多くが、麦や大豆と兼用できる播種機で作業を行なっている。
では、どんな播種機が利用されているのか。乾直を始める際には、機械メーカーや栽培指導をしてくれた人が薦めてくれた機械を選ぶことが多いと思う。具体的に言えば、ドリルシーダーあるいは真空播種機がその機械だ。麦や牧草との汎用を考えている人は、ドリルシーダーを、大豆やその他の豆類、あるいはトウモロコシを栽培している人は真空播種機を選ぶ傾向がある。

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