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スマート・テロワール通信

庄内産小麦が郷土料理、ご当地ラーメン、惣菜パンに

庄内スマート・テロワール協議会は今年、小麦の加工・販売の実証試験に力を入れている。昨年19年に先行発売した酒田ラーメンのほか、今年20年には郷土料理の麦きりをはじめ、スタイリッシュなサンドイッチの原料に庄内産小麦を使用し、新旧が共存する庄内ならではの食文化を賑わせた。
庄内はコメやソバが有名だが、独自の小麦の食文化も育まれてきた。庄内スマート・テロワールの構想にも、小麦の生産から加工・販売、消費までが含まれている。今回は、この構想の実証試験に取り組んでいる山形大学農学部中坪あゆみ助教に話を聞いた。

伝統的な食文化を受け継ぎ、新しい食文化を育む庄内産小麦

庄内では「麦きり」と呼ばれるうどんに似た麺が人気だ。麦きりの製麺会社や麦きりがメニューにある飲食店も多く、庄内の郷土料理として知られている。手打ちうどんと同じように小麦を練った生地を薄くのばして包丁で細く切ったもので、うどんよりも細く冷麦より太い。腰が強くつるつるした食感が好まれ、冷麦のように夏に冷やして食べるのが一般的だ。庄内で麦きりが食されるようになった時代は不明だが「庄内では昔、稲作の裏作で麦を栽培し、家庭料理として食べていたそうだ。『きり』は麺を包丁で切ったことが由来といわれている」(中坪助教)だそうだ。いまは庄内で小麦を栽培する人は少なく、麦きりの原料は域外の小麦だ。
周知のとおり、小麦は国内生産量が少なく輸入に頼っている。20年の食糧用小麦の需要予測は580万t(備蓄含む)に対し、国内産は91万t(在庫含む)で全体の16%にとどまる。国民1人当たりの年間消費量は約32kg(1965年以降横ばい)なので、山形県の人口約107万人の需要は単純計算で3.4万t。しかし、山形県全体の作付面積は85ha、収穫量は223t(19年産)と県内需要の1%に満たない。
庄内スマート・テロワール協議会は、将来構想に余剰水田や耕作放棄地を活かした畑の輪作体系に小麦を組み込んだ。現在、生産量を高める品種の選択から栽培、加工・販売、消費までの実証試験をしているところである。収量が一定量に達したことから、今年は加工・販売の実証試験に力を入れてきた。

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