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特集

外国資本による土地買収


Q なぜ所有者が不明になるのですか?
A たとえば外国人が土地を購入し、海外に居住して連絡がとれない状態になれば「所有者不明」の扱いになります。または、外国人が法人名義で買収し、登記はそのままにして海外で土地の転売を繰り返すと、所有者は確実に不明になります。日本は明治以来、「人と土地」を一体管理してきました。日本に住んでいない人や法人が土地を所有するなんていう状況は想定も経験もしたことがないので、それらを管理するのが得意ではありません。
Q 所有者が不明になると、どんな問題が起きますか?
A まず、税金の徴収ができなくなります。国税庁や徴税吏員が持つ権限は、海外ではほぼ通用しません。所有者が不明になれば、所得税、不動産取得税、登録免許税等のほか、固定資産税も免れます。国際的には「租税に関する相互行政支援に関する条約」がありますが、締結していない国は100カ国以上もあります。また、この条約の対象となる税金は国税だけで、地方税は対象外です。

■過疎地域の安全保障の懸念

Q 国境の離島などの安全保障の問題も取り沙汰されていますね。
A 2019年2月の衆議院会議の安倍首相の答弁で、「国境離島や防衛施設周辺等における外国人や外国資本による土地の取得に関しては、国家安全保障にかかわる重要な問題と認識しており、安倍政権において、我が国として初めて策定した国家安全保障戦略にも明記(原文ママ)」とあります。後で述べますが、法整備にはさまざまな壁があってなかなか進みません。
Q 農山村の過疎地域ではどのような懸念がありますか?
A 私が危惧しているのは、例えば山に囲まれた閉鎖型の過疎地域の土地が買収され、将来、他国の租借地のような扱いになりはしないかということです。著書で取り上げた北海道平取町などでは、13年にある商社の子会社が最大時で約1700haまで農地を買収しました。大部分が放置されたまま耕作されていませんでしたが、目的不明です。メディア等で話題になったせいか、現在は所有面積が325haに減っています。
Q 土地の所有権と国の領有権とは異なるので問題はないという意見がありますが。
A それは、私の知人が言った言葉です。しかし、日本では土地の所有権が非常に強いことはご承知のとおりです。マーケットベースで他国による土地買収が進むというのは、かつてハワイ王国が民間に土地を払い下げるようになったとき、米国のドール社などが土地買収とプランテーション化を進めたのと同じです。それから40年後、ハワイ諸島は米国に併合されました。戦後の日本は、自由経済による成功体験しかないので、安全保障や国益の話をすると、ナショナリズムや戦争をイメージされてしまいます。いまは商売の話と国益の話がごちゃまぜになって議論されていますが、短期の商売と将来にわたる国益は分けて考えなければなりません。

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