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特集

外国資本による土地買収



■産業の主導権の喪失

Q 経済的な活動が目的なら問題ないですか?
A 経済的にも長期的に考えると、もし、その土地で国や自治体が新たに何か公共目的で事業を始めたり、規
制をかけようとしたりしても力が及ばなくなるでしょう。これはすべての産業活動について同じことが言えます。何か産業を興そうとしても主導権を持つことができなくなります。
現在、実際に買収された森林では、林業などの経済活動が行なわれているわけではありません。土地所有そのものが目的という場合が多いです。

Q 農業における問題は何ですか?
A 私が懸念しているのは、将来の農業の姿が、地主が外国人で、小作が日本人や在留外国人になることです。私がニュージーランドで見た牧場の姿が近いと思います。土地の所有者が中国人、労働者はアフリカ人という牧場です。地主と小作の関係、網元と漁師の関係です。かつての英国の荘園にも似ています。これから過疎地域の土地はますます安くなって売り物件が多くなっていくことでしょう。日本人のなかからは買う人が現れず、お金を持っている外国人が買うことになります。そうなれば、ニュージーランドのような光景が日本の過疎地域の農村で見られるようになるのではないでしょうか。これは農林水産業に限らず、売れ残った工業団地にも波及し、製造業でも見られるようになるでしょう。インバウンド待望は観光業のみならず、すでに全産業に及んでいます。

【長期的視点で考える】

■ 国は諸外国の規制にならい、早く法整備を

Q 今後、国に取り組んでほしいことは何ですか?
A まず、外国資本による土地の所有権に関わる法整備をすることです。
Q 海外にはどのような規制がありますか?
A 米国では、ハワイやアラスカなど4割の州で規制しているほか、外国投資・国家安全保障法(FINSA)による審査手続きによって実質制限しています。スイスはコラー法(連邦法)に、土地の過剰外国化を阻止すると明記しています。無許可の取引は無効で登記できず、届出違反の土地は没収されます。中国、インドネシア、フィリピンでは外国人の土地所有を認めていません。インド、シンガポール、マレーシアも制限付きです。韓国は外国人土地法によって島しょ部や海岸部については許可がなければ土地売買できません。ニュージーランドの離島も0.4haを超える外国人の土地所有は許可制になっています。17年以降は、中国の一帯一路による進出に対抗して、太平洋周辺諸国のニュージーランド、オーストラリア、米国、韓国が外資買収のさらなる規制や禁止などの措置をしています。

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