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齊藤義崇の令和の乾田直播レポート

課題と問題は欲の産物である~現場に寄り添った研究開発と情報発信が足りない理由~

土の感触をもっと肌で感じるべし

8月に帯広農業高校から土壌断面調査と土づくりの特別授業の講師に招かれた。コロナ禍での開催だったが、学校側は予定通り開催するというので、土の話をしに出かけてきた。帯広農業高校と言えば、この夏、北海道民に明るいニュースを提供してくれた学校だ。春の選抜高校野球の代替試合に21世紀枠で出場し、甲子園で健大高崎高校に見事に勝利! 受講した生徒のなかには野球部員もいて、勉強でも熱い姿勢を見せてくれた。
現地に昼頃に到着すると、土壌断面調査で一番大切な穴掘り作業は、生徒が協力して午前に済ませてあった。調査用に掘られた穴は、秋小麦の圃場のなかでも栽培方法の異なる2カ所。講義時間として約90分を託されたが、生徒も先生もよく話を聞いてくれたし、よく質問もしてくれた。私自身も久しぶりに深さ1m余りの土の断面を観察し、根の伸長と地上で成長する作物の様子を見比べるなど、基本に立ち返ることができた(27ページの写真参照のこと)。
十勝の土を久しぶりに触ってみたが、硬い。山中式硬度計を土壌断面に当ててみると、作土・心土とも20 mmを超えた。15~22 mmが「やや硬い」、22~25 mmが「根は少し入るが伸びが悪い」と評価される。十勝の湿性火山灰は栽培期間中によく締まるのだろうか。作業機の刃が減ることを実感させてくれる。土壌硬度は根の伸長を妨げると思われる数値だが、意外にも麦の根は深さ60 cmの場所でも確認できた。硬いといっても空気を多く含んでいるのか、作物の根は入っていくのかもしれない。その辺りは、干ばつでカチカチになる水田等の粘土質の土壌とは、土壌硬度が同じ数値を示しても状況は違うだろうと想像される。
さて、土壌断面調査をやってみて改めて気づいたのは、土づくりが人力や馬耕でなくなり、トラクターと作業機が行なうようになって、土の感触を肌で感じなくなったことである。さらに、トラクターが高馬力化し、耕すときの負荷を感じることも少なくなった。土が硬いか軟らかいか、乾いているか湿潤かなど、昔以上に意識をしていないと、土壌や圃場のコンディションに気づけないのだ。本誌の読者の皆さんは土に対する意識が高いので、トラクターから降りて確認される方もおられるだろうが、その肌感覚を失ってはならないと改めて思った次第である。

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