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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
アイルランド 産官の連携で栽培拡大へ 協同組合が掲げる7つのヘンプの柱
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第35回 2020年10月23日
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アイルランドは、北大西洋のアイルランド島(北海道よりやや広い)の約8割を領土とし、人口492万人を有する。多国籍企業による工業化により農業の重要度は下がったが、牧畜業が盛んな国である。
この国の千年に渡るヘンプの歴史は、イギリス統治中(1100年代後半~1900年代初頭)に始まった。現存する最も古い麻製品は、首都ダブリンの公営博物館にある約850年前のヘンプの紐である。16世紀に植民地化が進むと、大規模地主による典型的な植民地型農業によりヘンプ栽培も開拓民に推奨されていた。その後、イギリス帝国がフランスのナポレオン皇帝と戦った19世紀には、広大な泥炭湿地を排水して100万エーカー(約40万ha)を超える土地を農地化し、イギリス海軍が必要とする帆布やロープの原料となるヘンプを栽培する計画が策定されたこともある。この計画はナポレオン軍の差し迫った脅威が後退したため、実行されなかった。
この当時、麻の産業用途に注目した人物がいた。神経科の医師、あるいはアイルランド文学復興運動の第一人者としてダブリンで活動していたジョージ・シガーソン博士である。1866年に『アイスランドの麻文化~その利益と可能性~』という小冊子を発行し、そのなかで「ヘンプはアイルランド経済に革命を起こす能力がある」と主張した。植物の特徴や経済的価値、栽培に関してはイギリスやロシア、米国との比較を交えて詳しく紹介され、その深い考察は、現在にも通用する内容が多いと言われている。
また、イギリスの植民地だったインドで、医師および科学者として東インド会社に従事していた際に、大麻草の薬効について詳しく研究したウィリアム・ブルック・オショーネシー博士も同国出身である。彼は医薬品として大麻草を西洋社会に持ち込み、今日の医療用大麻の基礎を築いたことで知られている(図1)。
この当時、麻の産業用途に注目した人物がいた。神経科の医師、あるいはアイルランド文学復興運動の第一人者としてダブリンで活動していたジョージ・シガーソン博士である。1866年に『アイスランドの麻文化~その利益と可能性~』という小冊子を発行し、そのなかで「ヘンプはアイルランド経済に革命を起こす能力がある」と主張した。植物の特徴や経済的価値、栽培に関してはイギリスやロシア、米国との比較を交えて詳しく紹介され、その深い考察は、現在にも通用する内容が多いと言われている。
また、イギリスの植民地だったインドで、医師および科学者として東インド会社に従事していた際に、大麻草の薬効について詳しく研究したウィリアム・ブルック・オショーネシー博士も同国出身である。彼は医薬品として大麻草を西洋社会に持ち込み、今日の医療用大麻の基礎を築いたことで知られている(図1)。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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