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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

アイルランド 産官の連携で栽培拡大へ 協同組合が掲げる7つのヘンプの柱



協同組合の設立と国が主催したヘンプ会議

このような地道な取り組みの成果は、欧州ヘンプ市場の拡大にも影響され、産官のネットワーク形成にもつながってきた。18年にはヘンプ協同組合アイルランドが設立された。この組合は、農民や地元企業がアイルランドでヘンプ産業を発展させるためのインフラ構築を目的とし、年会費100ユーロ(約1万2000円)で誰でも参加できる。活動ビジョンに、個人の健康、食品・飲料、炭素固定、農村再生、動物福祉、持続可能な循環型バイオ経済、持続可能な建築という7つのヘンプの柱を掲げている(図4)。ヘンプを全く知らない人が見ても、データを示しながらわかりやすくヘンプの利点を紹介している。例えば、炭素固定の項目では、「1tのヘンプは二酸化炭素を1.63t削減する。農業で二酸化炭素排出量を20%削減するためには、21万7000haの土地をヘンプ栽培に使用する必要がある」と書かれている。また、動物福祉では、「ヘンプの種を食べた鶏は、オメガが豊富な卵を産み、健康な鶏を育む。牛に与えられたヘンプは、乳量を増やし、消化を助け、牛を穏やかに保つのに役立つ」とある。
19年には、前述の農業食品開発機関が、農家と企業、大学、行政を集めて「アイルランドヘンプ産業プレミア会議」を開催した。大学研究者はヘンプに含まれているカンナビノイドと利用やヘンプ建材の応用について、栽培農家はヘンプ栽培のメリットと課題について、行政官は栽培免許の申請方法について、民間企業は市場規模やニーズ、農村再生と雇用創出の可能性について、それぞれ発表した。会議資料によると、栽培免許の取得者は16年にはたったの6名だったが、19年度には60名に増え、作付面積は376haになった。最も栽培された品種は、食用ヘンプオイルによく使われている「フィノーラ」だった。国の研究機関が率先して、ヘンプの専門会議を開催するのは、農村再生の切り札としてヘンプを見ているからである。アイルランド経済に革命を起こせるか、ヘンプ産業への期待は大きい。

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