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【土門「辛」聞】
高額概算金で赤字を出しても農家に“損失飛ばし”で帳尻合わせ
- 土門剛
- 第194回 2020年10月23日
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その翌日、千葉最大の集荷激戦地に本拠を置くJAかとりが、生産者に示した「生産者買取価格」を通知。収穫期が早い「ふさおとめ」と「あきたこまち」でいずれも1万2600円。ただ下落幅は違った。前者は1200円で8.7%、後者は1400円で10%。競合産地があるあきたこまちの方が下げ幅を大きくしたようだ。9月1日に決まったコシヒカリは1万3000円。あきたこまちと同じく1200円ダウン。下落幅8.5%だった。
どちらが相場実勢を反映しているか。紛うことなくJAかとりの方だ。ここは全農ちばに頼らず米卸などと直接取引。買取価格なので、当然、買い手の卸などと価格を相対で決め、売れ残りがないようにしていたからだ。
概算金と買取価格の違いについて説明しておこう。概算金は仮渡金とも呼ぶ。最終価格を予想して、その9割以上を出荷前に支払う。年末に1回目の精算があり、最終精算が翌年に繰り越すこともある。ここ数年、1回目の精算では数百円程度の追加払いがあった。下げ相場で概算金を高めに払った20年産は、早くも追加払いはないと生産者は諦めた。
どちらが相場実勢を反映しているか。紛うことなくJAかとりの方だ。ここは全農ちばに頼らず米卸などと直接取引。買取価格なので、当然、買い手の卸などと価格を相対で決め、売れ残りがないようにしていたからだ。
20年産JA概算金はアテにならない
概算金と買取価格の違いについて説明しておこう。概算金は仮渡金とも呼ぶ。最終価格を予想して、その9割以上を出荷前に支払う。年末に1回目の精算があり、最終精算が翌年に繰り越すこともある。ここ数年、1回目の精算では数百円程度の追加払いがあった。下げ相場で概算金を高めに払った20年産は、早くも追加払いはないと生産者は諦めた。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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