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普通はつぼみではなく、花がなくなってしまった状態で売られるが、マルシェで花付きで売っているのだ。ちょっと無骨な感じもするアーティチョークが、花付きにすることで華やいだ感じになり、雰囲気がガラッと変わるのに驚く。
「野菜って、いろんな形があるわけだから、どの形にお客様が興味を持つか、自分で体験して決めるべきなんじゃないか」
レタスも株のまま売らずに、葉を摘んでレタスブーケにする。10種ほどのさまざまな形と色のレタスを組み合わせ、アクセントに菜花を添えることも。さまざまな種類を楽しめ、使い切れる量で、デパートなどで人気商品になっている。手間要らずで、水洗いするだけでパッと使える。「消費者の口に近いところまで持っていく」工夫を施した商品の典型だ。
ズッキーニは、花ズッキーニと呼ばれる花の状態から大きく成長したものまで全部出していく。花ズッキーニはレストランに人気が高いのだ。緑に黄色、赤、紫といったカラフルなミニトマトの写真を指しながら、中村が解説する。
「選別しないで全部混ぜてしまう。選別したら、グリーンは要らない、紫は要らないとなってしまうけれど、使う側からするといっぱい混ざっているほうが面白い。我々作る方としても、選別が要らないから楽。こういうカラフルなトマトをカルパッチョの皿に散らしたら、きれいに映える」
カラフルなニンジンも、色ごとに売るのではなく、異なる色の5本セットというように、組み合わせて売る。色ごとに売ると、たとえば紫や白といった特定の色が売れ残りかねず、売れ残っているのを見るとさらにその色への購買意欲が落ちることになりかねない。
「詰め合わせてバーニャカウダのセットとして提案すると、5種類入っているのが面白いねと感じてもらえる」
マルシェを情報収集と出会いの場に
見せ方へのこだわりは、加工にも共通する。中核的な商品となっているピクルスは、縦長の瓶に詰められ、配色や野菜の配し方、切り方にもこだわる。本社にある加工場に、つい手に取りたくなる工夫が施されたピクルスの瓶が並んでいた。
野菜を飛行機と雲の形に型抜きしたピクルスは高松空港で販売する新商品だ。ニンジンを千切りにし、上に白色のニンジンを、下にオレンジ色のニンジンを詰めた、バイカラーのお洒落なピクルスもある。商品のデザインは、中村と元々建築デザインを職業にしていた裕太郎が手がける。ピクルスには珍しい縦長の瓶、洒落たラベル、鮮やかな配色に惹かれ、思わず手に取る消費者が多いに違いない。
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中村敏樹 ナカムラトシキ
(有)コスモファーム
取締役会長
1956年、長野県上田市生まれ。香川大学農学部園芸学科卒業。農産物の流通会社、JAの営農指導員を経て、農業コンサルタント、農業プロデューサーに。2010年からコスモファームで多品目少量栽培を行なう。18年、代表取締役を長男の裕太郎に譲り、会長に就任。日本野菜ソムリエ協会講師、NPO法人日本食育ランドスケープ協会副理事長などを務める。著書に『多品目少量栽培で成功できる!! 小さな農業の稼ぎ方』がある。
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