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新・農業経営者ルポ

1haで儲ける方法を見つけた農業のアウトロー


取引先は800店舗ほどになる。百貨店や高価格帯のスーパー、飲食店、ホテルなど。すでに販路は十分な気もするが、マルシェへの出店を一貫して重視している。
青山や代官山、恵比寿といった有名なマルシェの立ち上げを手がけてきた。都内をはじめとする関東地区のマルシェに、ずっと出店を続けており、マルシェは欠かせない存在だという。出店する理由はマルシェで儲けるためではない。売り上げから出店料や輸送費、交通費を引くと、利益はほとんど出ない。マーケティングリサーチの場、マッチングの場として魅力を感じており、「マルシェでの出会いがなければ、販路は今のように確立されなかった」と強調する。
「マルシェでは、コンパネ(板)1枚が自分たちの売り場だから、自分たちの店をどれだけ飾れるかが勝負。そこにキャベツだけ並べてもお客は喜ばない。色んなものを並べることと、売り方が大事。売れ残ってきたら、それをかごに盛ってラタトゥイユのセットにする。お客様が興味を持つディスプレイにし、人の足を止めることが大切」
商品の中でもピクルスの販路開拓は、マルシェに負うところが大きかった。大きな木箱にカラフルなピクルスの瓶をすき間なく並べたところ、大変な人気になり、マルシェを訪れていた有名なセレクトショップのバイヤーから扱いたいと声を掛けられる。その後、全国の店頭に並ぶことになった。
セレクトショップのパーティーに参加した際には外資系の高級ホテルの社員と知り合う。ピクルスはホテルの売店にも並ぶことになった。業界のトップランナーに商品を扱ってもらったことで、百貨店や高級スーパーからも商談が来るようになる。こうして、加工品だけでなく、野菜の販路も広がっていったのだ。

小さな農業の稼ぎ方を伝える

消費者を魅せるのは商品だけではない。畝を扇形に配した畑は、まるで花壇のように形や色の異なる品種を植え、道行く人の目を楽しませる工夫をしている。考案者の裕太郎は「お客さんが、コスモファームの畑を自分の畑と思う工夫ができたら」と話す。
中村は、誰も教えてくれなかった「小さな農業の稼ぎ方」を確立したように思える。だが、まだまだ新たな挑戦を続けるつもりだ。
「農家に多いのが、市場から言われたことが、消費者の求めていることだという勘違い。市場は量をたくさん集め、規格をそろえて、大手のスーパーに提案する。スーパーが求めるのは売り場で説明の要らない野菜」

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