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昆 本間先生は今年8月まで内閣府規制改革推進会議の専門委員を務めていました。農業経営者の人たちに「こうしてほしい」ということはありますか。
本間 私たちは産業を外部から見て「こういう経済的規制は不要ではないか」と指摘して議論しますが、内部のことはわからないことも多いのが実情です。ですから、みなさんが現場で不便だと思っていたり、おかしいと感じていることはどんどん声を上げて伝えてほしいです。例えば、トラクターを運搬する際に不便だった道路交通法の規制を改善できたのは現場の声があったればこそでした。これからスマート農業をしようにも規制だらけだと思いますし、我々はなるべく現場の人が使いやすい改革をしたいと思っているんです。
それでもし規制改革以外の方法で解決できる問題なのであれば、農水省の規制改革担当に伝えて解決してもらいます。目的は規制改革のための規制改革ではなく、農産業の発展を阻害するものを取り除き、規制改革でしかできないことは規制改革で進めることですから。
昆 本日はどうもありがとうございました。
個々の意見 現行規制に対する農業関係者の訴え
文/紀平真理子
【ケース1】農作物栽培高度化施設の届出申請の矛盾
匿名(愛知県)/イチゴ100a
■ある日突然、「農地」から「雑種地」へ
圃場は登記簿上、すべて農地として登録されている。しかし、2015年に航空写真でハウスを確認した市の資産税課が来訪し、イチゴの本圃100aと育苗ハウス20aは雑種地扱いとされた。理由は、コンクリート張りではなく、防草シート敷きであっても、高設栽培だからということだ。当然、税務上の固定資産税も雑種地扱いに変わった。市の農業委員会に相談したが、「税務のことはわからない」とそのままになっている。当地での税金は、農地は10a当たり年間600~800円だが、雑種地は1万6000円のため、年間で4、50万円ほど負担が増えたことになる。
ちなみに、農地法上で農地に該当するものとして、「農地の形質変更行為を行わずに、鉢、ビニールポット、水耕栽培等を行う場合(簡易な棚の設置、シート等の敷設等を行って栽培を行う場合を含む。)」とあり、この事例は農地に該当されると思われる。
■農作物栽培高度化施設の届出申請
2020年7月に「農地法第43条及び第44条の運用について」の制定が改正された。高度な環境制御を導入した施設園芸圃場が増加する中、制度が現状に追いついていない状況を是正するためだ。改正以前は、農業ハウス等の内部を全面コンクリートにした場合、農地転用に当たっており、相続税や贈与税の納税猶予等の対象でなかった。また、固定資産税や相続税の評価は「農業用施設の用に供する宅地」となり、農地に比べて高くなっていた。
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