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特集

農業に規制改革を! 前編 72%が弊害ありと感じた現行の規制と縦割り行政


同改正では、農作物栽培高度化施設の届出申請をすれば、ハウスの底地が全面コンクリートであっても農地転用の許可は必要ではなくなった。当然、税制上を含め農地として利用できるようになった。

■防草シートではなく、コンクリートでなければ受け付けない
制定の改正で雑種地のイチゴ圃場と苗場を農地扱いにできるか農業委員会や市に尋ねたところ、農作物栽培高度化施設の届出申請は受け付けているが、コンクリート張りが条件となっているといわれた。そのため、防草シート敷きの圃場では適用できず、コンクリートを張らなければいけない。法律や規制の変更なくして、「底地がコンクリートの場合も農地転用の許可が不要」ということを条件に加え、いわば上乗せで解決しようとしたことで、かえって現場の混乱を招いている。

【ケース2】形式的ではない本当の「環境保全」に補助すべき
匿名(北海道)/露地野菜・果樹

■補助金の要件に合わせた環境保全型農業
2015年から「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」に基づく制度として「環境保全型農業直接支払」が実施されている。実際には環境保全型農業を目的として補助金を受けている生産者はあまり多くなく、補助金を受けるために要件に合わせていることが実情だ。例えば、この補助金を受けるためには緑肥のすき込みが必須になる。しかし、特に北海道では、作前作後に緑肥の栽培期間が確保できず、緑肥が十分に生育する前にすき込んでいる状況も見受けられる。秋の圃場が湿っている状態ですき込むより、すき込まずに越冬させたほうが圃場にも環境にも良い。さらに、果樹園での草生栽培でも、環境保全のためではなく、要件を満たすためにすき込んでいるのが現状だ。

■農業系の補助金の見直しとスマート化
環境保全に係る補助金だけではなく、中山間や農地水等に係る補助金も本当に有効に使われているのか疑念がある。中山間地域等直接支払は、中山間地域で農業生産条件の不利を補正することで将来に向けて農業生産活動を維持するために支援するものだ。私の町では集落ごとに申請しているが、農地面積が大きい地区では予算を持て余して不要な機械を購入している。また、農地・水保全管理支払交付金も北海道のように1戸当たりの圃場面積が大きい地域では必要以上に予算が配分されている。
何よりも助成金や補助金を申請するための事務人件費も馬鹿にならない。全国各地の各市町村に事務局があ
り、集落ごとに担当者が配置されている現状では、事務員の報酬だけでもコストがかかっている。農業系の補助金は一度見直し、すべて集約した上で、もっとシンプルに、スマートに補助金を分配でき、有効活用される仕組みが作られることを求めたい。

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