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特集

農業に規制改革を! 前編 72%が弊害ありと感じた現行の規制と縦割り行政



■産地交付金で捨て作りが増えてしまう
産地交付金に関しても早く見直すべきだと考えている。例を挙げると、水田活用の直接支払交付金で水田で転作作物や高収益作物などを栽培した場合、交付が受けられる。野菜類の場合でも私の地域では10a当たり3万5000円、近隣地域では7万円もの交付金が得られる。そうなると、捨て作りに走ってしまう生産者もおり、産地の名で品質の悪い野菜が市場に出回ってしまい、結果として産地の市場価値を下げてしまっている。非水田の圃場で、真面目に野菜を作っている農家には、産地交付金は配分されないため、水田で野菜を作っている農家に奪われるという構図になる。

■本当の意味での平等とは?
国の予算は、「必要な人」に「必要なだけ」配分されることが理想だと考えているが、現状では「必要のない人にばらまいている」ように感じている。経済産業省のものづくり補助金や小規模事業者補助金のように、申請者である農家自身が申請書を作成し、事務局が選考し、予算を配分価値があると判断された農家に配分する。つまり、申請書を自分で作成できない経営者は、経営を続けられない可能性が出てくる。しかし、それが本当の意味での平等ではないだろうか。

■畑をよくするための補償
補助金の使い道の一つとして、本当の意味で、畑をよくするための補償がよいと考えている。具体的には、土壌分析費用、石灰や土壌改良材、堆肥、緑肥などの資材費、または暗渠施工などだ。環境保全に対してより土壌改良に対する補助を求めたい。土壌をしっかり維持管理し、次世代の農業へつなげていきたいからで、これは私が長年農業をしていて痛感していることだ。

【ケース3】農産物検査規格改正により廃棄量の増加
(株)ART SOIL・片岡仁彦代表取締役(北海道中川町)

4年前に福井県から北海道中川町に移住し、現在はソバを栽培している。2015年からソバの農産物検査規格が流通実態に即して改正が適用され、等級区分が3等級から2等級に簡素化された。つまり、2等級の次は規格外となる。また、外観重視から、普通ソバの場合は容積量、だったんそばの場合は粒度を重視した規格に改正された。私が栽培しているキタワセを含む普通ソバも、直径4.5mmの丸目ふるいの上に残る粒の全量に対する重量比が70%未満だと、1等および2等の容積重の最低限度は数値に20g加算される。以前と比べ、確かに色などの形質基準はなくなったが、その分比重や大きさの設定が厳しくなり、設備投資費や廃棄量が増加している。

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