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特集

農業に規制改革を! 前編 72%が弊害ありと感じた現行の規制と縦割り行政



【ケース4】HACCPと輸出拡大のバランス
こうのとり風土わくわくファーム・綿田けん(兵庫県豊岡市)

当ファームでは、但馬牛の繁殖経営を基本に、地域資源を活用した牧草の生産や堆肥の生産、牛肉の販売まで自ら行なっている。現在は、山林や未使用の水田などで放牧を実施しているが、この10月から規制が強化されることを懸念する。ただ、これは口蹄疫が発生した場合に限り、放牧禁止エリアが設定されるというもので、ただちに放牧が禁止になるわけではない。
規制改革の提案として、牛肉の販売まで実施する中で気づいたことがある。国内の消費量が落ち込み、海外への農産物輸出の促進も望まれているが、牛肉に関していえば、HACCPを実施していることを証明した工場で加工したものでなければ、輸出できないことが障壁になっている(注:牛肉は、米国、カナダ、香港、シンガポール、EU、メキシコ、ニュージーランド、フィリピン、台湾、マレーシア、インドネシア、ブラジルへの輸出時に必要)。HACCPは、原材料の受け入れから最終的に製品になるまで、各工程ごとに微生物による汚染や金属の混入など危険要因を分析した上で、危害の防止につながる工程を継続的に監視、記録するための工程管理システムである。もちろん、品質の向上や安全のためにはHACCPなどのガイドラインは必要だと思うが、輸出拡大とのバランスが取れるといいと思う。

【ケース5】産地品種銘柄の廃止
農業関係者

現在、農産物検査法に基づく「産地品種銘柄」に指定されていない水稲品種を生産者が生産性向上のために栽培しても、銘柄検査を受けられない。そのため、その水稲品種の収穫玄米は雑米扱いとなり、水稲生産者が販売する際の価格は、産地品種銘柄に指定されている品種に比べ2、3割ぐらい低い価格となっている。仮に産地品種銘柄に指定されていても、「選択銘柄」の場合は、検査機関が選択銘柄選定届を出していないと銘柄検査が行なえず、「その他」に分類されてしまい、銘柄に指定されている品種に比べ1、2割程度低い価格になってしまう。
こうしたことから、水稲生産者は生産性向上に結びつく水稲品種を栽培したくても、その品種が産地品種銘柄になっていないと低価格になってしまうという理由で栽培できないでいる。したがって、現在行なわれている産地品種銘柄制度は、水稲生産者が栽培する際の品種の選択の自由を奪っており、廃止すべきである。

【ケース6】デジタル化で農業委員会業務の最小化を望む

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