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特集

農業に規制改革を! 前編 72%が弊害ありと感じた現行の規制と縦割り行政


筆者は、2014年から3年間、上川管内の農家と研究者免許を取得し、栃木県農試育成の「とちぎしろ」の試験栽培を行なった。生育は極めて旺盛で、北海道でも栽培が十分可能。1ha当たり約25tもの高い乾物生産能力を示したが、開花期が9月中旬と遅く、登熟不良で採種量は栃木県の約20分の1の10a当たり2.5kgにとどまり、食用の子実生産や採種には不向きだった。

【THCゼロ%品種の種子輸入にもブレーキ】

「とちぎしろ」の採種が困難だったことから、フランスのヘンプイット社が開発したTHCゼロ%品種の輸入を目指すことにした。導入候補は早生で北海道でも種子生産可能、THCだけではなく、CBDも少なく、THCの乱用や違法なCBDの抽出が無意味な品種「サンティカ27」である(図1、表4)。
北海道では自家採種をせず、毎年フランスから種子を輸入すれば、野生大麻との交雑を回避でき、面倒な採種事業が不要となる。ちなみに、北海道のてん菜栽培では、製糖会社がヨーロッパから毎年種子を輸入している。てん菜もヘンプも共に工芸作物だが、将来、てん菜の作付けが減少した場合、一部をヘンプに置き換えて畑輪作を維持する時代が来るかもしれない。
いずれにせよ、現行の貿易管理令・輸入公表には播種用ヘンプ種子の品目がなく、すべて食用か飼料用のため、熱処理等によって発芽不能処理をしたものしか輸入できない(表5)。
貿易管理令を所管する経産省は法令の改定に前向きとの情報もあるが、道庁によれば、厚労省の見解はたとえ研究用であっても種子の輸入は困難とのこと。ここでも厚労省がヘンプ種子の輸入を阻むブレーキとなっている。
本格的な海外産の播種用ヘンプ種子の輸入にあたっては、その管轄と手続の明確化が求められる。

【栽培免許申請の窓口を県の薬務課から農政部へ】

現行の大麻取締法については、農作物としての大麻の規制、保護を第一に考えた運用を検討すべきと考える。大麻取扱者免許申請の具体的な項目を示した大麻取締法施行規則によると、栽培免許については厚労省と農水省の共同管轄となっている。
しかし、現在は免許申請手続きの窓口は、ほとんどの場合、厚労省からの業務を受け持つ県の薬務課となっている。薬務課の役割は、大麻を「違法な薬物」として取り締まることであり、農作物の保護という観点から免許の審査を行なうことはないと思われる。
大麻取締法の本来の目的である農作物としての大麻の保護を考えれば、大麻取扱者免許の管轄を県の薬務課から農政関係課へ移し、薬務課は栽培が正しく行なわれているのか指導監督に徹するべきと思われる。

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