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最近では畜舎の建築基準の見直しがあります。国交省の基準で建てることになっていて現場の不満が大きかったのですが、なかなか改善されませんでした。それが2019年に農水省主導の基準作りをすることになり、現場の意見を採り入れながら新たな畜舎の建築基準を策定しているところです。あとは農産物の検査制度改革とかですね。昆さんも専門委員で一緒に取り組んだときは玉砕しましたが、その後復活して攻めている規制も少なくないです。一見すると小さいと思えることでも、一つひとつの規制に穴をあけていくことが重要で、それが大きな成果、進歩につながっていくと思って取り組んできました。
【農協改革の課題と新たな農協作りの好機】
昆 第二次安倍政権下では農協問題にも取り組みましたね。なぜ規制改革で農協なんですか。
本間 農協問題は規制改革と関係ないように見えて大いに関係しています。例えば、全中中心の方針の押し付けは形式上では農協系統という民間組織のガバナンスの問題ではあるのですが、農協法という公的な制度の下で成り立っている公的な組織ですから、国民が納得できる組織でないといけないわけですし、さまざまな特権が認められて規制で守られるためには国民の役に立つ組織である必要があるからです。その意味で、農協改革も規制改革の一環でした。
昆 農家でない准組合員の問題はまだ何も手が付けられていない状態ですね。
本間 そうです。2021年3月末までに政府は准組合員のあり方について結論を得ることになっています。ただ、これまでの農協の幹部の発言などを聞いていると、農協側は2014年当時の問題提起を忘れているように感じます。そのときは、准組合員の利用規制をかけ、准組合員が野放図に農家のための“農業協同組合”を利用するのはいかがなものかという問題意識でした。農協側はJAバンクやJA共済の事業拡充には、員外規制の枠を越えて准組合員を増やす必要があるという戦略を取っていましたが、私たちは「それでいいのか」と問いかけたわけで、経済事業を中心とした農家のため、農民のための協同組合に軸足を移せという明確なメッセージでした。彼らは問題を先送りする形で、全中の社団法人化という組織改革を実行したため、我々もとりあえずは矛を収めた経緯があります。
しかし、それから時間が経過し、我々としては今度こそパンドラの箱を開けるつもりです。准組合員という制度は世界の他の協同組合では例のない歪んだ形の制度だからです。組合事業のユーザーを協同組合の組合員にするからには、何らかの形で組織のガバナンスにコミットさせる必要があり、農協経営に対して発言権と議決権を持たないままでは協同組合の体をなしません。もちろん、地域によって事情が異なるでしょうから、どう組織の運営にコミットさせるのかは地域ごとでしっかりと決めてほしいと思っています。
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