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特集

農業に規制改革を! 前編 72%が弊害ありと感じた現行の規制と縦割り行政


昆 私が専門委員をやっていたころより、JAバンクやJA共済のテレビCMが増えていませんか。協同組合なのに「まちのみんなのJAバンク」とかおかしいですよね。
本間 経営戦略としても展望がない。JAバンク、JA共済の黒字で経済事業の赤字を埋めるという構図も徐々に崩れてきているので、正組合員か准組合員かに関係なく、すべての組合員に「今後の農協経営をどうするのか」が問われているのです。それも全国組織である前に、地域それぞれが「オレたちの農協をどうするのか」の声を上げないといけません。農業地帯の農協なら准組合員も農家出身者が多いでしょうから、地域全体の問題として考えるのもいい。かつて市町村に一つずつあって、中央の言うとおりにしていれば地域農協の経営が成り立ったのどかな時代は終わっているんです。その危機感をもって改革してくれなければ、ツケを回されるのは各地域の農家と組合員なのですから。
昆 戦後の農協もまた農地改革や食管法イデオロギーの延長線上にあると思います。そのため、農協に本来の協同組合以上の権利を分け与えてしまい、農協自身が自家撞着の状態にあるんでしょう。金融事業の不振もあって自滅しかねない状況で、農家の生産活動にも悪影響を与えかねません。
本間 それこそ農協系統ではない自分たちの経済活動に特化した農協や新しい協同組合を模索する時期に来ています。大規模農家が集まって自分たちのための協同組合を作るチャンスです。
昆 実際、農業経営者たちの意識も高まっており、農協を介さない形で役所とのつながりも強くなってきています。さらには異業種との取引を通じて、カルビーのような食品メーカー、外食産業とのつながりが強化され、健全でより自由な経営を選択できるようになりました。
本間 もはや農業は農業で完結しない。「6次産業化」はあまり好きな言葉ではありませんが、バリューチェーンのなかで農産業を考えると、必然的に現行の制度や規制は変えないとやっていけないことに気づくはずです。土を耕す人の農地所有を定めた農地法があるから、農地をコンクリートで覆うと農地ではなくなってしまう。でも、生産資源と考える農地法に改正されれば、建物を建てようがコンクリートを張ろうが、そこで食と農に関わる事業をしていれば問題ない。農水省も6次産業化を掲げているのだから、認めていいはずなんです。農地を食と農に関わる生産資源としてとらえ、新しい形の法体系と規制に改めるんです。

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