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特集

農業に規制改革を! 前編 72%が弊害ありと感じた現行の規制と縦割り行政


昆 今のままの6次産業化なら、かつての一村一品運動と同じように失敗するでしょうね。そろそろ農水省も次の段階に進んでいることを自覚し、彼ら自身がいい方向に向けて変化してもらいたいです。
規制改革には痛みが伴いますが、それを乗り越えた先にはどんな未来が待っているのでしょうか。

【減反は20年持たない 規制改革でピンチをチャンスに】

本間 私が案じているのは、小規模農家から突き抜けたり、規模拡大に成功して売り上げが増えた農家が、そこで思考や改革意欲が止まってしまうことです。そこそこの成功で満足して守りに入る、あるいは飼料米の補助金をたくさんもらって儲けていて「今のままでいい」と現状に安住している人が少なくありません。でもよく考えてみてください。こんなおかしい制度があとどれくらい持つと思いますか? 緊急避難措置として始まった減反政策がその後、本格的に導入されてしまい、今の悪農政に至っています。この失敗を二度と繰り返してはなりません。財務省と農水省は減反関連の予算をめぐっていつも揉めています。決して持続可能な制度ではないんです。規制改革の歩みを止めれば、未来の展望どころか予算を止められて突然死するしかないんですよ。
昆 財務省は子実トウモロコシ栽培の支援に予算を付けるくらい現行の減反政策に危機感を持っていますね。だからこそ農業経営者にはポスト減反の準備はできていますかと常に問いたいです。
もう一つ、本誌読者の農業経営者を見ていると、規模拡大して新しい技術体系にも取り組める経営体力が付いてきました。残された大きな課題は“農村経営”だと思います。農村の人口が減って耕作放棄地も増えていくなか、地域の伝統を含め農村を未来にどう残していくのか。村長ではなく、地域の農業経営者たちが農業と同じく異業種を取り込みながら、農村の価値をビジネスチャンスに変換できる存在として農村経営を担う役割があると思っています。私の知る限り、力のある農業経営者はみんな地域のことを真剣に考えているからです。
本間 中山間地をはじめ日本の農村には風景だけではなく、人材や知恵、文化といった無数の魅力があり、それをビジネスに生かさない手はありません。農村の農家は高齢化していますが、じっちゃん、ばっちゃんの持つ食のノウハウ、食材のおいしい活かし方なんかはサービス農業の宝庫だと思っています。そういう豊かな食のノウハウが高齢者と共に失われてしまうのは国家的損失ですから、誰かが受け継いでいかないといけません。

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