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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第22回 研究者の“脱サラ”ワイナリー 自己実現めざす働き方改革 ビーズニーズヴィンヤーズ(茨城県つくば市)


表2は法務省「在留外国人統計」でみたものであるが、市区町村別にみると、つくば市の研究職の在留外国人はダントツに多い。人口比でみると、人口1万人に対し、つくば市は11人、これに対し東京都特別区は0.3人である。
つくば市は1960年代に建設が始まった。東京の過密緩和と科学技術振興・高等教育の充実を目的に、筑波山や霞ケ浦を擁する農村地域に、東京にあった国の研究機関や東京教育大学(現筑波大学)を移転し、新都市を建設したものだ。6町村の合併で生まれた町であり、総面積2万8372haであるが、そのうち中央部の研究学園地区は2700haである。中央部の都市機能の集積地以外は、依然、農村地帯であるが、ここも変化の波に襲われている。
筑波というと筆者が知っているのは「ガマの油」と「北条米」であるが、ここにブドウ&ワインという新しい産業が発展しようとしている。(株)ビーズニーズヴィンヤーズ(今村ことよ代表)も、そのひとつである。
じつは、茨城県は山梨県勝沼と並ぶワイン産業発祥の地でもある。牛久シャトー(牛久市)は明治36年(1903年)、日本ワイン産業の黎明期の人、神谷伝兵衛氏が創業したもので、フランス種のブドウとボルドー高級ワイン製造法を取り入れた日本最初の本格的なワイン醸造場である。しかし、それ以来、長らく茨城県ワインは飛ばず鳴かずの状態だった。ワインの立地適性がなかったのであろうか。
しかし、この数年、ワイナリーの新規参入が続いた。このほかに、ブドウ栽培を始める人も出てきた。新しい産地化に向けた動きが活発化している。現代と牛久シャトー時代の違いは何であろうか。

[2]筑波山麓でもブドウが栽培できる――筑波大学の研究論文を読み判断

筑波山麓を南に流れ霞ケ浦(土浦)に注ぐ桜川は、筑波山の花崗岩から豊富なミネラルが溶け出し、流域沿岸に恵みをもたらしている。この流域に戦前の皇室献上米「北条米」の水田地帯があるが、花崗岩土壌のミネラル成分が北条米の旨みを作っているといわれる(筑波山麓付近は花崗岩土壌であり、北条米地区まで広がっている)。北条米は冷めると甘みがあり美味しい米である。
ビーズニーズヴィンヤーズは、山麓の沼田と臼井の両地区にブドウ園があるが、北条米地区と同じ桜川の東側に位置する(北条米より上流)。
沼田地区の圃場を訪れて(収穫直後)、ちょっとビックリした。草茫々である。ネコジャラシなどが50 cmくらい伸びている。惰農かと思い、取材に来たことを後悔したほどだ。しかし、雑草が多いのは畑が新しいせいだという。耕作放棄地(借地)を開墾して最近使い始めたばかりだ。年に5回、除草しているという(草刈りは10a約30分でできる)。別の圃場は雑草の茂りはなく土地が落ち着いていた。

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