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スマート・テロワール通信

リンゴと人々がつくる地域の未来―東信・たてしなップル


今年、自社ワイナリーで醸造したシードルも長野県原産地呼称管理制度の認定を受けることができた。小宮山氏はさらに安くシードルを提供しようと、飲食店で提供するのに適した樽生シードルの販売を始めたところだ。

将来、地域の財産に

今年はブドウの苗木を植え、先行してワイン醸造にも取り掛かった。
「私も今年67歳なので、あまり風呂敷を広げすぎると大変だなと思っているが、流れでここまで来ちゃった。地域の現状を見ると、一部の方を除いて高齢化や後継者不足によって農業の衰退が続いている。地域の生産者のリンゴやブドウの委託醸造をしたり地元産にこだわった果物を加工したりして消費者に届けることで、5年後、10年後、シードルやワインが地域の財産になり、地域おこしにつながればいい。後でみんなに『あのときやってよかったな』と思ってもらえたら、自分の足跡にもなると思う」
東信STオンライン研究会では、小宮山氏の講演の後、参加者たちがリンゴやシードル、ワインを活かした地域づくりの構想についてアイデアや意見を交換し、将来への期待がふくらむ会議となった。

中田康雄の気づき

【若者に農村の未来を見せるスマート・テロワール】

農村の過疎と衰退はなぜ起きているのか。根底にあるのは若い女性が農村を離れ都市に向かう向都離村である。解消するためにはどうしたらよいのか。
それは若者に魅力ある農村の未来を見せることだ。そのための構想がスマート・テロワールである。
全国には市町村の境界線とは別の郷土愛や経済圏で一体感のある地域が100程度ある。それらの地域内で物質と経済が循環する「自給圏」をつくり出すことがスマート・テロワールのビジョンだ。

【自給圏は何でつくるのか】

食料の自給圏は、穀物とそれを飼料とする畜肉の生産に着目する。
なぜ穀物と飼料か? 必要とされている食品の原料が地域でつくられていないからだ。新たに穀物や畜肉を原料とした加工品の加工や販売が増えれば、女性の職場も生まれる。

【加工用の輸入が多いリンゴ】

ところで、農水省によるとリンゴの国内生産量77万t(2016年)のうち生食用65万t、果汁等加工用は12万t。果汁等加工用の輸入リンゴは55万t(生果換算)。つまり、加工用の需要全体に対して、自給率が2割弱にとどまり、輸入量が8割強を占めていることになる。この事実はリンゴの加工メーカーがその原料を海外からの輸入に依存していることを示唆している。

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