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ちょっと油断すると
左右のバランスが崩れ
あっというまに横倒し
無事刈り取った部分も
一度あるくと
ぐちゃぐちゃぬかるんでしまうため
バインダーの横に一人がついて歩き
稲がポン!と排出されるとき
空中でうまくキャッチできないと
せっかく束ねられた稲穂が
泥まみれになってしまいます。
さらに
キャッチする人が抱えられる稲束の量も限られているので
交代がうまくいかないと
かかえた束ごと転倒。
すべてが泥まみれという最悪の事態が待っています。
稲刈りの日が
運悪く翌日からまたも雨という予報がでていて
あわてていたのか
途中ぬかるみに足を取られて
尻餅つく人続出。
蒸し暑い田植えのときならまだしも
山間ですこし寒いくらいの季節になっての泥まみれはとても冷たく
メンタル的にも
なかなかに厳しい状況。
しかしこのような
ちょっとたいへんな状況を
「おもしろい!」と捉えるのは
山本家のお家芸といいますか
泥田と格闘しているうちに
いつのまにか
テレビ番組のバラエティーで
ゲームなんかに参加しているような気分になって
谷間の悲鳴が笑い声に変わった頃には能率も格段に上昇。
物理的に全く同じ作業をしているのですが
気分が変わると
不思議なものですね。
そんな子供たちの姿を見て
まだ小さな子供を育てるご家族から
いったいどうやってそんなふうに育てるの?
などとよく聞かれますが
今のところはわからないとしかお答えできません。
しかし
なんとなくそうかな?というようなことを書いておきますと
うちの子たちがまだ補助輪付きの自転車に乗っていた頃
他の子たちもよくやるように
どしゃぶりの雨のなか
わざわざ走りに行ったり
なんの必要もないのに
泥んこになって
とんでもなく大きな穴を掘ったり
そこにたまった泥水を布でひたすらろ過したり
大人からすると
なんの得にもならないただ疲れるだけのような作業のなかに
何かしらの魅力を見つけ夢中でやりつづける姿をみたとき
なぜ?という疑問と同時に
とても素敵だなと思いました。
一見辛いことのようにみえる
泥んこやずぶ濡れのなかにも
面白いことや面白いものをみつけようと思えばみつけられる。
要はそのとき
自分たちがどこに意識を向けるかで
世界の見え方は全く変わってしまうということを
僕が子供たちから教えてもらった感じです。
今日大阪からカフェに来られたご家族のお母さんが
ただ広いだけで遊具も何もないうちの農場の原っぱで
自分の子供たちが
何時間も退屈せず生き生きと
走り回って遊ぶ姿をみながら
「何もないのってほんと贅沢ですね」とおっしゃり
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山本晋也 ヤマモトシンヤ
副村長
みわダッシュ村
1968年、京都生まれ。美術大学を卒業して渡米後、京都で現代美術作家として活動。そのかたわらオーガニックレストランを経営するも食材を種から作ってみたくなり、京都市内で畑を始める。結婚して3人の子供を授かったころ、農業生産法人みわ・ダッシュ村の清水三雄と出会い、福知山市の限界集落に移住。廃屋を修繕しながら家族で自給自足を目指す。土と向き合ううち田畑と山や川、個人とコミュニティーの関係やその重要性に気がつき、田舎も都会もすべて含めた「大きな意味での自給」を強く意識するようになる。この考え方は、美術家時代にドイツの現代美術家ヨゼフボイスのすべての人が参加して創り上げる社会彫刻という概念に影響を受けた。現在みわ・ダッシュ村副村長。
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