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土門「辛」聞

減反2割アップ・予算据え置きで減反政策は空中分解する

679万t! 10月16日開催の農水省食糧部会で決まった2021年産適正生産量だ。20年産比56万t減。過去最大の減反幅になる。概算要求の段階では転作奨励金の予算は据え置かれた。予算増額がなければ、現行減反政策は確実に空中分解する。転作奨励金の予算をめぐる農水省と財務省の確執を通じて、転作奨励金のあるべき姿を追ってみた。

米価高騰を呼び込んだ飼料用米の高額助成

直前に公表された作況指数(9月15日現在)は、全国101。主産地は軒並み豊作モードだった。適正生産量の削減があることは、ある程度予想されていたが、700万tの大台を一気に割り込む数字に、神明ホールディングス社長の藤尾益雄委員は、「衝撃的。達成できる数字なのか」(10月17日付け日本農業新聞)と驚いた。
転作奨励金、いまは水田活用の直接支払交付金のことである。9月30日公表の21年度概算要求では、20年度当初予算と同額の3050億円だった。過去最大の減反幅を反映したものではなかった。
予算と交付単価が同じであれば、転作奨励金が薄まることになる。そうなれば減反協力者が減り、主食用米の生産にドライブがかかる。空中分解と表現したのは、このことを指すのだ。
どれぐらい薄まるか。20年産の減反面積は50万haだった。10万ha上積みなら20%の増加となる。これに対応する減反奨励金はざっくり500億円。水田利活用予算3050億円を減反面積で割った数字の8割とした。いまの財政状況では、おいそれと出せる金額ではない。さりとて都道府県にまるまる肩代わりさせることができるわけでもない。
この非常事態に、JA全中の馬場俊彦専務は、「過去にない数字だ」「非主食用米などへの転換に向けた材料を早急に示していかないと、(確保した)時間が無駄になりかねない」(10月17日付け日本農業新聞)
このタイミングでの食糧部会は、通例11月後半に開かれる。それがことしは1カ月前倒しで開いた。農水省が「(確保した時間が)無駄になりかねない」よう農協組織に配慮したのだ。
水田利活用事業は財務省には評判がよくなかった。とくに目の敵にしてきたのが飼料用米への高額助成。米価を高値誘導してきた諸悪の根源とまで言い切っていた。財務省の言い分は、18年4月の財政審議会・財政制度分科会で述べた前田努主計官(当時)の説明に尽きる。

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