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Economic eye

JA茨城もコメ輸出加速 ファームサイズ100ha戦略(県農政)


JAの方が、コメ輸出に加速度がついているのが注目される。欧州向けが多いが、東南アジア向けも増えている。彼らの経済発展に伴い、日本米を食べられるようになった所得向上の効果だ。JA茨城は業務用が中心だ。輸出というより、販売先の確保だという。集荷価格は約9,000円。生産者の収入は補助金を加えると、10a当たり11万~12万円。多い人は14万円になる。
JAが輸出に積極的になってきた。国内需要が減少に向かっているため、新規市場開拓へと姿勢を変えたわけだ。危機感がJA全農を輸出に走らせている。市場原理がJA全農を変えたのだ。
関係者の話では、来年のコメ輸出はもっと加速しそうだ。国内市場の縮小が輸出努力を誘発しているわけだが、価格面でも、国内市況の下落で低価格の輸出向けも損しない状況になってきたからだ。
輸出用米は「新規需要米」として、国から10a当たり2万円の補助金が出る。加えて、県・市町村の補助金が加算されるが、茨城県は6,000円、さらに市町村はゼロ~2万円の補助金が付く。つまり、生産者の受け取りは、輸出業者の集荷価格8,000円+10a当たり補助金(2万円+6,000円+市町村分)であるから、60kg当たり1万2,000円程度になる。9俵とれば、10a当たり粗収入は10万円になる。この価格なら、主食用と大差なくなる。来年はもっと差が小さくなると見られている。
コメ輸出の動きは近く“臨界点”を超えるのではないか。「百笑市場」の担当者によると、まだ様子見の生産者が多く、まず1ha分からやってみようと始めた人も、今年メリットに思う人が増えるので、来年は堰を切ったように増えるのではないかという。
輸出補助金はWTOルールに触れる懸念がある。しかし、生産者グループの場合、もともと米国向け輸出というスキームで始まっており、規模拡大でコストダウンに成功しているから、7,000円でも輸出できる。
茨城県は農政の思想がよい。輸出への取り組みは米どころの方が危機感が強く、新潟、秋田が早く、茨城は後発組であるが、現在、茨城県の輸出量は全国4位に上がっている。県は二つの輸出協議会の事務局を担当し、農業者の組織化や輸出提携先と農業者のマッチング支援等、コメ輸出の産地体制づくりを支援している。先進国型を目指す「茨城モデル水稲メガファーム育成事業」という、農業経営体の規模を100haに拡大する戦略もある(ただし未だ分散錯圃)。

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