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特集

農業に規制改革を! 中編 農業関係者の訴え 分類別編(1)

新内閣の発足に伴い、本誌が長年取り組んできた農業の規制に関する問題が注目を浴びている。引き続き、現行規制に対する農業関係者の訴えを分野別に取り上げる。中編となる今回焦点を当てたのは、肥料・農薬の問題と鳥獣害対策である。 (まとめ/編集部、加藤祐子)

肥料・農薬の問題

肥料法については、これまでもしばしば審議されてきたが、2018~19年の規制改革推進会議の農業ワーキンググループで詳しく検討され、19年6月に公示された第5次答申の内容を受けて、法令に反映する動きが進行中の分野である。一方の農薬については、ドローンの活用に関わる部分として注目され、悲願の規制緩和が実現しつつある。
肥料・農薬ともに、規制を設ける目的に、農産物として口に入れる「国民の健康の保護に資する」ことが大前提にある。同時に、品質確保、適正な使用、公正な取引を取り締まり、農業生産技術の進歩に即した改革が求められる。肥料・農薬の登録に関わる時間やコストを短縮し、農協問題にも関わる流通業者間の自由な競争の阻害を改め、最適な施肥や防除を行なえる環境をどこまで整備できるだろうか。 聞き手/苅谷崇之

【ケース1 行政の曖昧さが日本農業を疲弊させている/匿名(北海道)】

■自家消費という定義の曖昧さ
例えば、肥料の登録は農林水産省の管轄だが、これを輸入する際には税関、つまり財務省の管轄になる。また、輸入する際に成分分析をするのは厚生労働省の管轄になる。しかし、横の連携は期待できず、さまざまな弊害が起こっている。
肥料を輸入する際には事前に輸入登録をしなくてはならない。そのためには2カ月ぐらいの時間と10万~20万円ぐらいの費用がかかる。ところが、自家消費では登録をせずに輸入が可能だ。これまで自家消費のために輸入していたので問題はなかった。
今回、農業資材の共同購入をするために法人を作り、ここを窓口にして肥料を輸入することにした。農水省にも認可された組織だが、問題が起こる。
共同購入をすることで利益が出ると指摘され、自家消費にはならないと税関(財務省)側から指導が入り、農水省と話をしてくれと言われた。農水省に話を持っていくと曖昧なことを言われ、話は進まない。
自家消費であれば、肥料登録がなくてもコンテナ1本輸入しても問題がない。その肥料を組合として約60人の共同購入という形で輸入した。それに関する考え方が、農水省は農水省の言い分、税関は税関の言い分があり、横の連絡がほとんどない。税関の人が「電話します」みたいなことを言っても、農政事務所の人に聞くと「電話が来ていません」と言われる。農政事務所にも「共同購入は大丈夫ですか?」と聞いたら、「本庁に聞いてみます」と言われてたらい回しにされた。

■肥料登録の煩雑さ
確かに、肥料代に加えて1、2%の事務経費は取ったが、利益ではなく、輸入するためのコンテナの手配などに必要なものだ。
今まではスムーズに輸入できたものが、輸入の方法を変えただけで手続きやお金がかかるようになった。自家消費をするために輸入するにも関わらずだ。
次回の輸入のため、いままで輸入していた肥料の登録証を取った。費用は大きい。一つの肥料の登録を取得するのに、農水省に払うお金だけで約5万円かかる。そして、成分分析をし、有害物質が多いか少ないかで金額は変わるが、約5万~15万円ぐらい。それが何種類かあれば、大きな金額になる。

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