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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第23回 反逆のワイナリー 雨の多い宮崎でワイン造り (株)都農ワイン(宮崎県都農町)


■テロワール原理主義への抵抗
都農のブドウ栽培が始まったのは終戦後、1950年代である。扇状地の先端にあり、大きな石がゴロゴロある上に火山灰が積もっている地帯である。水漏れがひどくて水田に適さない土地であるが(水を張るのが大変)、江戸時代は石高(こくだか)を増やすための新田開発で水田になった。しかし、上流との水争いが絶えなかったようだ。
戦前、地元の農家、永友百二は稲作に頼らない農業経営を目指し、果樹園芸に挑んだ。雨の多い都農で果樹栽培は不可能……誰もがそう思い込んでいたが、彼は雑木林を開墾し、さらには田にも梨を植栽した。「田んぼに木を植えるなんて」と周囲からは非難されたようだ(都農の果樹栽培は出発点から「反逆」のスタートであった)。こうして、戦前は梨が植えられたが、台風被害に悩まされた。そういう悩みの中から、終戦直後、永友百二ら数人によってブドウ栽培が始まった。それが今日の都農ワインに繋がる。
都農町は、巨峰、キャンベル・アーリー、マスカット・ベーリーA、デラウェアなどの有名産地に発展したが、1989年、ワイナリー構想が立ち上がり、生食用に加えて醸造用ブドウの栽培が始まった。地元産のブドウのみを使ってワイン造りを実現しようと、94年、第3セクターとして(有)都農ワインが設立され、ブドウの里から、ワインの里へ発展した。単純に自然条件だけが品質を決定するかのような皮相なテロワール論(原理主義)への抵抗、不利な自然条件克服の成功物語である。

■テロワールの“真実”
「都農のテロワールは悪くないよ」と、(株)都農ワイン社長の小畑暁氏(1958年生)は言う。第一に水はけが良い。都農の土質は、火山灰土壌の「黒ボク」と言われる土で、排水性には優れている。先に水田には適さないと言ったが、裏返せば水はけが良いということであり、都農の土壌はブドウ栽培に良いわけだ。問題は、排水性には優れているものの、ブドウが必要とするミネラル分が乏しいことだ。  
第二に、ブドウの収穫は遅くても9月中・下旬で、台風が来る前に収穫する(キャンベル・アーリーの収穫はお盆前8月初旬、一番最後に収穫する甲州種も通常9月中旬)。都農の8月、9月は日本でも有数の晴天で、日照時間も多い。つまり、早生ブドウは大いに可能性がある地域である。ブドウの生育期は関東より1カ月早いようだ。
宮崎都農は雨が多いのが欠点だが、この雨は台風の影響が大きい。梅雨は全国同じだ。したがって、台風さえ避けることができれば、一方で、水はけの良い土壌が生きてくるので、都農のテロワールはそんなに悪いということにはならない。早生品種の選択や、栽培技術で、テロワールの悪い側面はある程度、克服できるであろう。

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