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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第23回 反逆のワイナリー 雨の多い宮崎でワイン造り (株)都農ワイン(宮崎県都農町)



■最高の土壌を手に入れた
牧内台地は火山灰土壌(黒ボク土)で、排水性に優れている。しかし、ブドウが必要とするカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が乏しい。ブドウはミネラル要求度が高い植物である。世界のワイン銘醸地は石灰岩がゴロゴロしているが、その土壌はミネラル分が多いから高品質のブドウができる。都農の牧内台地は、ミネラル分を補う土づくりが必要だ。
都農ワイナリーは、ブドウの根がミネラルを利用しやすくするため、堆肥を使った土づくりを行なった。堆肥を植物栄養と捉えるのではなく、土壌微生物のエサと考える農法だ。宮埼は畜産が盛んなので、堆肥を作り土に投入すると、微生物が堆肥を分解し、分解された堆肥が接着剤の働きをして土が団粒化する。つまり、土の微生物に働きかけて団粒構造の土を作り、ブドウの毛細根が張りやすい環境を整えてミネラル分を効率よく利用できるようにしている(注2)。
黒ボク層の下は溶結凝灰岩が風化した角礫や粘土を含むチャート層(35万年前の海底隆起によって形成)があるが、根が1m伸びればチャートに届く。ここに含まれるミネラル分を吸収するので、素晴らしい品質のブドウができる。つまり、土づくりで、水はけの良い、ミネラル豊富な最高の土壌を手に入れたわけだ。牧内台地の土壌は世界の銘醸地と同じ条件になったのである。地中深く隠されていた宝を探し当てたようなものだ(黒ボクは酸性土壌なので、堆肥とは別にカルシウム資材等も投入している)。
また、土づくりの結果、健全なブドウの樹が増えて、農薬の散布量が5分の1になった。べと病(カビ)にもかからなくなった。特筆に値するのは、ブドウの葉が紅葉したことだ。それまでは雨や台風で葉っぱがなくなっていたが、収穫後の畑に葉が残り、紅葉した。葉が最後まで残ることで光合成活動が続き、樹に養分を貯えることができる(この点は筆者の理解。前号「ビーズニーズ」の知見)。
注2:筆者の理解では、植物も「有機質」を吸収できる。有機肥料を使うと味が良くなるという体験的知見があるが、「植物は無機で吸収する。だから、有機質は無用」「有機質は土壌の物理的構造の改善には役立つが、味には関係ない」というのが定説である(無機栄養説)。しかし、分析技術の進歩で分子レベルの分析が可能となり、有機質(タンパク質)が土壌中の微生物によって分解され、分子量8000程度まで小さくなれば、植物は有機質を直接吸収しているという研究が発表されている。都農ワインの土づくりでも、土の団粒構造化以上の効果が出ているのではないか。拙著『新世代の農業挑戦』全国農業会議所2014年、110ページ参照。

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