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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

カナダ(2) 嗜好用大麻の合法化に伴うヘンプ産業との棲み分け

本連載でカナダを取り上げたのは2018年3月号である。1998年に産業用ヘンプが解禁され、03年に医療用大麻が続き、18年10月に成人向けの嗜好用大麻が先進国で初めて合法化。さらに19年10月からはエディブルと呼ばれる大麻入り食品の流通も解禁され、まさに最先端を歩んでいる国である。
前回は食品分野を取り上げたが、今回は、実際に産業用ヘンプが、医療用大麻や嗜好用大麻とどのように区分されているのかを紹介する。

チャフ(花、葉、枝)も合法へ

カナダで大麻草の販売、所持、生産、流通(輸出入も含む)に関わるすべてを規定しているのは18年10月に改正されたカンナビス法である。栽培を解禁した98年以来、この法律下でヘンプは、花と葉に含まれるマリファナ成分のTHC濃度が0.3%未満のカナダ保健省が認定した品種に関わる範囲に規定されてきた。「ヘンプ免許」を申請すれば、栽培から加工、販売、輸出入までの活動が可能となる。
ヘンプにおいて、嗜好用大麻の合法化に伴う最も大きな変化は、チャフと呼ばれる花(開花頂部)、葉、枝の利用が合法化されたことである。意外に思われるかもしれないが、18年度までの20年間は、日本と全く同じようにカナダでも、茎(繊維とオガラ)と種子は利用できたが、花と葉の利用は違法だったのだ。
チャフにはCBD(カンナビジオール)が豊富に含まれる。13年に始まった米国発の健康成分CBDの大流行(本誌18年7月号)は、カナダのヘンプ農家にも影響を与えた。カナダ国内のヘンプ栽培面積が2万~3万ha規模になっても、チャフの部分はすべて畑で廃棄するしかなく、農家側はチャフの利用解禁を管轄する保健省に強く要望していた。
19年のカナダ保健省統計によると、約3万7000haの作付面積のうち採取目的別でみると43%がチャフ、生の種子(ヘンプ食品)が31%、繊維が22%、種子が4%だった。18年まで違法だったチャフは、19年度から合法になって早速第1位に躍り出たのである。

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