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新・農業経営者ルポ

普通の考え方、普通にできる仕組みで、人が集まる農業へ



ほぼ直販、販売面で利益を上げるための工夫

グリーンフィールド浜松の販売先のうち、70%がスーパーマーケットだ。基本的には、自社便で愛知県豊橋市から静岡県富士市まで直接販売している。新規就農者セミナーで、鈴木は「消費者は、大きいブロッコリー100円と、普通サイズのブロッコリー100円ならどちらを購入すると思う?」と問いかけた。驚いたことに、参加者たちは「普通サイズのブロッコリー」を選んだ。これが、市場ニーズと消費者ニーズの違いだと鈴木は続ける。
「主婦は同じ価格なら大きい方を選びます。出荷先に合わせてニーズの違いをつかむことが重要。それだけではなく、小売店の信用を得ることが大事。これは、少しずつの積み重ねでしか得られません」
この信用の積み重ねるのには在庫表の存在も大きい。在庫表の意味は二つある。一つ目は、「いつ定植した」「どの品種が」「いつ、どれだけ収穫できた」のかを把握するための基礎数値を記し、翌年の播種計画に利用するためである。もう一つは、冷蔵庫にどの程度在庫があるのかを把握するためである。この数値を把握しておくことで、小売店からのセールなどの要望に対応できるのかを回答したり、場合によっては交渉できたりする。新規店舗がオープンしたときに「安く出してよ」と言われるときがある。在庫があるときには、「いいですよ。またお世話になるから。目玉商品で出しましょう」と言って協力する。そういうことを続けていくと、長い付き合いができるようになるという。そして、収穫物の在庫量が多いときは、逆にスーパーにお願いし、店の一番いい所に置いてもらう。
「そういう風に相手のことを思わないといけない。お互いにどうしたらいいのか、考えながらやっていくのが経営だと思う。自分だけが儲かるというのではやっぱり儲からない。相手も同じことを思うから」
また、販売面で利益を上げる工夫も重ねている。
「以前ならクリスマスのころは1玉200円で買うぞ! があったけど、いまはないね。ブロッコリーを作る人が増えたのと、暖冬で時期がずれているから」
このような環境下で利益を上げるために、播種計画による流通期間の長期化だけではなく、自社便での配達による信頼関係の構築、コストのかかる市場の箱ではない「通い箱」による出荷コストの低減、規格やサイズの簡略化による出荷工程の短縮、規格外もセットにして販売することによる生産ロスの低減など、聞けば聞くほど戦略も戦術も出てくる。

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