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新・農業経営者ルポ

普通の考え方、普通にできる仕組みで、人が集まる農業へ



いままでの農業界とは違った匂い

2年目から雇用した2名は、現在76歳と65歳だ。これだけでも、社員にとってグリーンフィールド浜松は働き続けたい環境であることがうかがえる。鈴木は社員に対して、仕事中は厳しいこともいっている。また、雨の日でもカッパを着て「収穫だ!」と発破をかける。
「せっかく会社に来てくれたんだから、こんな会社は嫌だではなく、いい会社だからここにいたいよねって思ってもらいたいね」
鈴木に人が集まってくるのはなぜなのか。従業員もさることながら、講演や視察依頼も後を絶たず、浜松市認定者協議会の会長も引き受けている。
「いままでの農業界と違った匂いがするんだろうね」
川に例えると、同じスタートを切っても、川べりに行く人、大海に出て行ってしまう人、好む好まざるにかかわらず川の本流にいく人がいるという。人が集まる人とは、「本流にいく人」である。鈴木は、従業員がいる以上損得勘定無しとはいかないが、損得以外の「何か」がないといけないと強く感じている。会社を辞めて農業に入って良かったと思うことの一つに、会社の肩書きではなく、自分自身に人が訪ねてきてくれることがあるという。人が集まってくることは財産で、訪問者は情報を持ってやってきて、その情報が次の仕事を生むことがある。人が来る会社、人が来る人間でないと駄目だと話す。
「一生懸命に取り組んで、こっちも頼みたいけど、この人だったら手伝ってやってもいいと思われる“生き方”が一番大事なんじゃないかな。僕が素直だとは言わないけど、素直なことや、頼られたらやってやるってことは大事。常にいろんなことを見ていることも大事」
鈴木は、人と目を見て話すと「見えちゃう」という。「見る」ことは、訓練(=経験)と意識によって培われる。
「でも、人はなかなかわからないところもあるからね。奥さんでも、『こういうところがあるんだ!』って、いまさら気がつくことも多いよ」
鈴木は、人や周りをしっかりと見て、自分も周りも「普通の考え方で、普通にできる仕組み」を作ることを大切にしている。そのための記録、分析、整理は怠らない。そして、起業のために就農したというが、本当に農業が好きなことが言葉の端々から伝わってきた。車での移動中におもむろに車を止めてこう言った。
「気持ちいい畑でしょ。植え付けた後の畑を見ると『農業をやっててよかったな』と思う」 (敬称略)

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