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【特集】
農業に規制改革を! 後編 農業関係者の訴え 分類別編(2)
- 編集部
- 2021年01月28日
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個々の意見 縦割り行政
聞き手/清水泰
【ケース1】
市と県で情報共有していない
生産者 三井優生
市と県が農政周りの事業などを行なっているが、各地域で同じことをしていてムダが多い。その割に情報共有したり、情報共有する方向で検討することもない。地方の公務員では能力のある人材がいないと思っているので、市単位の事業で農業関連の会議には出ないことを家訓にしている。
【ケース2】
農業界の組織はすべて壊し、必要な機能に選択・集中する
野菜生産者(千葉県)
少量多品目の野菜を生産する法人の副農場長をしている。以前は群馬県にある大規模な農業法人に在籍し、そこでもポジションは副農場長だった。
率直に言って、農業界には要らない組織が多いと思う。ムダな組織を減らそうにも違う力が必要になるため、いっそのこと1回すべてなくしてしまえばいい。機能としては必要だが、もう行政やJAという組織を生産者が頼ることはあまりないはずだからだ。
とくにJA職員や行政(普及指導員)が現場のことを知ろうとしない現状に憤っている。農業に精通している方は稀だ。たとえば土づくり、植物生理、農薬、有機栽培であればその方法、資材の使い方、販路など、トータル的に農家に有利な情報提供できるのはほぼ皆無だろう。まず、問題を持ち帰ろうとしない。農家のために尽力して結果を出されている方々も知っているが、本当に稀だ。
結果を出さない組織がなぜ生き残れるのか。ビジネスの原則からは逸脱している。だから、壊して再構築したらいい。
JAの共選出荷や共同購買は必要な機能だと思う。全農などの上部組織になると専門的な営業や交渉も必要なため、大規模な法人からは信頼がある程度あり、必要とされていると感じる。
選択と集中だ。なんでもかんでもやろうとしないでとくに土壌、植物生理、農薬、土壌改良材などのアドバイスはアウトソーシングすべきと考えている。まずは連携からでもいい。この部分はまともに話せる人間が私の周囲にはいなさすぎるので、自らネットワークを構築中だ。日本土壌協会や各種苗会社、種苗店、やる気のある行政の現場の人間などがその対象になる。
【ケース3】
農業と林業の壁で遅れる鳥獣害対策
農業研究機関 匿名(埼玉県)
現在、鳥獣害対策を調べているが、鳥獣害の生息域は農地と林地にまたがっているというより、獣にとっては農地と林地の区別はない。ところが、人間の都合で、農地と林地は、同じ農林水産省の中でも厳密に仕分けがなされている。
農業研究機関の鳥獣害対策も、林地との水際の議論はできるが、林地そのものに入っていくことはできない。林地の鳥獣害対策は林業専門の研究機関の仕事になる。水際防御も重要であり、ある程度駆除効果もあるが、やはり一歩踏み込んで林地のけもの道に罠を仕掛けるという方法もそれなりに有効だと思う。
こうした縦割り規制の大元は組織設置法か、あるいは予算の使途限定の問題ということにもなるのだろう。法律も鳥獣保護法があるが、これはまさに保護が目的だ。
環境省も含め、鳥獣被害に連携して取り組む体制が組めるといいと思う。地域レベルでは連携して取り組んでいる。できれば鳥獣害対策時限立法のようなものの制定が必要だろう。そうすれば、予算も同じ事業を農業と林野、両立てしたり、環境省の事業とも連携できると思う。
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