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農地法第4条「農地の転用の制限」第6項で「農地以外のものにしようとするときその他政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない」とある。農地法による転用許可をすれば、作業場の建設は農振法第8条の「市町村の定める農業振興地域整備計画」の第8条にある「効率的かつ総合的な利用の促進」にも合致する。私が農林水産省に確認したところ、青地でも農業用の施設なら建設しても問題ないということだった。
しかし、国が良いと言っても農振法の農用地利用計画とその区域の設定や変更は市町村に権限がある。そのため、農地法はクリアできても、農振法により市町村が認めない。まず「白地を探せ」、次は「二辺が農振農用地以外に接している場所を探せ」という条件を出してくる。これから農業者が大規模になれば農産物の大量出荷や購入肥料の運搬などが必要になり、10t車以上の大型トラックが出入りするようになる。今後、白地の周囲が開発されて地域住民の住宅となった場合、そのような場所でトラックが出入りできるだろうか。
騒音や乾燥機のゴミへの苦情の対象になることは容易に想像がつく。
市が考える農振法は、農用地で「農産物を生産すること」にこだわりすぎだ。これではせっかく規制緩和されても意味がない。女性活躍社会と言われるなか、女性が農業に参画するようになれば、農用地の中に休憩場所やトイレも必要になる。農振法の農用地は農産物の生産に限らず、農業の効率的な経営のために使用できるように考えてほしい。
話は変わり、農地の集積・集約化は農業の構造改革の一丁目一番地だ。農地が集約されて担い手に集まり構造改革が終わったら、初めて欧米型の直接支払いシステムというのが考えられる。欧米には日本のような兼業農家はいない。だからこそ国民に安い農産物を提供する農業者を応援しようという制度が成り立っている。そのためには農地の集積・集約化により、効率的な経営ができるようにならなければならない。
それを進めるために農地中間管理機構ができ、2016年の改正農業委員会法により農地利用最適化推進委員が設置された。しかし、農業委員・最適格化推進員でも中には農地中間管理機構を活用していない人が委員を務めている。次の農業委員改選では、活用していない人ではなく、少なくとも活用している担い手を任命してほしい。
【ケース5】
継続困難な40年前の灌水事業の見直しを
柑橘類生産者 匿名(香川県)
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