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【スマート・テロワール通信】
「スマート・テロワール」の今日的な意義
- 第38回 2021年01月28日
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地域自給圏は「グローバル化した経済の脆弱性」を解消する
コロナ禍によるマスク不足で、我々はグローバル化した経済の脆弱性を垣間見た。いまや生活を支える衣食住のサプライチェーンは地球規模に延伸している。最も深刻なのは、ひとたび世界規模の災害が発生するとたちまち海外からの食料とエネルギーの供給が途絶えるリスクを抱えているということだ。
地域自給圏構想では、まず食料の地域自給を目指す。コメの自給率は100%に近いが、小麦や大豆、飼料用トウモロコシ、ジャガイモなどの畑作穀物の自給率はカロリーベースで30%を下回る。なかでも飼料用トウモロコシはゼロに近い。このほか油脂は自給率3%、国産飼料による畜産品は16%にとどまる(2016年)。1961年制定の農業基本法以来、日本の農政がコメ中心に展開されてきたことがこのような事態を招いている。
しかし、自給率が低位にあるということは、日本の農業に拡張の可能性があるということだ。地域のマーケットにおいて地域産品が輸入品に代わるチャンスは極めて大きい。また膨大な面積の未利用農地が遊んでいて、コメ以外の農畜産品が生産されるのを待っている。休耕田は100万ha、耕作放棄地は50万haに達するという。さらに日本には美食に憧れる大勢の消費者が地域産の食料の登場を心待ちにしている。このことも食料の地域マーケット開拓の可能性を保証している。
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