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スマート・テロワール通信

「スマート・テロワール」の今日的な意義


地域自給圏の建設が進むと、これまで地域内に存在しなかった新しい仕事が続々と誕生することになる。
・小規模食品加工業に関わる仕事。
・再生可能エネルギーに関わる仕事。
・地域内の食のサプライチェーンに関わる新しい流通に関わる仕事。
・地域内の食材を使用して地域限定料理を提供する新しい飲食業に関わる仕事。
・穀物生産、畜産の興隆がもたらす地域の景観を楽しむ新しい観光業に関わる仕事。
次々と生まれる新しい仕事は地域に雇用を生み出す。雇用の創出によって大都会から地域への人口の移動が常態化し、人口移動の逆回転の歯車が回り出す。さらにこれらの新雇用で女性が活躍できる場が増えれば、若年女性の向都離村が消滅し、地域の若年女性が増加して人口増加への展望も拓けることになる。
地消地産が拡大するということは、これまで他所から購入し、他所に流出していた食料やエネルギーの購入に関わるマネーが地域内で循環し始めるということだ。新しい仕事に関わる新規雇用は従業員の給与として地域にとどまり、これが新しい需要を創出するという好循環が生まれる。
こうして地域で食料とエネルギーの新しい産業が興隆することは、地域経済の基盤を安定した強固なものに創り上げることになる。大都市が地域を支える構造が一転し、地域が都市を支える構造への転換が始まるに違いない。地域自給圏構想は人口の大都市一極集中による脆弱性を克服する路を拓くことになるはずだ。

地域自給圏構想は「地球温暖化防止の戦略の脆弱性」を補完する

新型コロナウイルスに限らず、地球温暖化によって感染を媒介する生物の生息域が拡大したことで、これまで存在していなかった未知の感染源が拡大する可能性がある。また地球温暖化による気候変動は、夏季の高温や冬季の豪雪など、ここ数年でまさに肌感覚で感じられるほど深刻化している。日本政府も遅ればせながら2050年にカーボンニュートラルにする目標を設定したところだ。しかしそのプロセスの戦略は不明のままである。
地域自給圏構想は二つの打ち手によってカーボンニュートラル実現に貢献する。
・再生エネルギーの地消地産の実現
・フードマイレージの飛躍的な短縮
再生エネルギーの地消地産の実現は、例えばバイオマス発電がその代表事例だ。畜産農家の肥育する家畜排せつ物、穀物の収穫残渣、規格外品、家庭生ゴミ、間伐材でつくる木材チップなどを発酵させメタンガスを燃焼して発電し、発酵後の残渣は堆肥として畑に戻せばエネルギー循環が実現する。

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