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【土門「辛」聞】
ワクチン接種で集団免疫獲得 秋には生活と経済がノーマルに
- 土門剛
- 第197回 2021年01月28日
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各国でワクチン承認続々 取り残された日本
新型コロナウイルスが中国の専門家グループによって検出されたのが昨年1月9日。ほどなく各国でワクチン開発レースが始まった。それから1年を待たずワクチンに承認が次々と下り、集団接種も始まった。コロナで世の中が暗転した中、世界各地で「トンネルの先に光が見え始めた」と喜びの声が巻き起こった。
年末、英国や米国で集団接種に使われたのは、ドイツのビオンテック社が開発し、米国ファイザーが製品化したワクチンだ。西側諸国では、承認や緊急使用許可を取り付けた最初のワクチンとなった。
大がかりな集団接種は英国から始まった。英国政府は、12月2日、ファイザー・ワクチンに緊急使用許可を与え、同8日から接種を始めた。すべての英国人6700万人が対象。人類史上空前のワクチン接種大作戦となった。病院やクリニックだけでは対応しきれず、スポーツ施設などが接種会場にあてられた。ダービーで有名なエプソム競馬場も、場内の展示センターも接種会場となった。
英国をすぐに追うのがカナダ。同9日、ファイザー・ワクチンに緊急使用許可を与え、14日から接種を開始した。地元メディアは、コロナ征圧の意味を込めて、「ワクチン(Vaccine)」の頭文字「V」をとり「V-Day」と呼んだ。もちろん勝利の「Victory」という意味も込められている。
同11日、国内感染者数の累計1500万人と世界最多の米国が、ファイザー・ワクチンに緊急使用許可を与えた。全米での集団接種は同14日から始まった。当初、米食品医薬品局(FDA)は早期承認に慎重だった。ただ正式承認を待っていては事態が悪化するだけと判断、さらに英国やカナダの動きに触発されて緊急使用許可を与えることになった。
同18日、米政府はモデルナ社のワクチンにも緊急使用許可を与える。同19日付けBBCニュースは、「FDAの諮問委員会は前日、賛成20票、反対0票、棄権1票で、モデルナのワクチンは18歳以上にとってリスクより利益が大きいと認め、緊急使用を許可するよう勧告していた。FDAは18日、これに従った」と伝えた。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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