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今年の市場相場を読む

20年夏、輸入野菜に起きた 異様な動きを検証 ハクサイ/キャベツ/ニンジン/レタス類

毎年8月は夏秋野菜シーズン真っ盛り。東北・北海道の夏秋野菜に加え、春からの関東産地の残量もあり、多くの場合、潤沢な出回りとなる。学校給食もない夏休み期間中ということもあって、業務用需要も引きは弱く、価格もこなれて末端消費も順調に活性化する。国産が豊富で安値なら、自給率は高まり輸入も減るはずだ。しかし20年は、直接的には、7月の長梅雨などで記録的な曇天続き、8月には一転してこれまた記録的な猛暑日が続いて、関東以北の夏秋野菜産地は大きなダメージを受け、価格は暴騰した。もちろんコロナの影響も大きい。こうした国内事情が輸入野菜に異様な動きをもたらした。

ハクサイ/8月に輸入前年比12倍に、外出自粛で「夏鍋」需要出現

【概況】20年8月のハクサイの輸入量は前年の12倍、1300tを超えた。不需要期の真夏にはめったに見られない現象だ。実際、東京市場の8月の入荷量は前年より23%減って単価は2倍になっている。ただしハクサイの輸入量が増えていたのは8月だけでなく、4月7倍、5月11倍、6月6倍、7月と9月が2倍である。東京市場の4、5月の入荷数量は前年並みながら、それぞれ単価は2.5倍、2.2倍になっている。国産の入荷減・高騰に輸入が素早く対応した。
【背景】8月の入荷減と高騰は、夏の主産地・長野県のトロケなど猛暑による高温障害の影響だ。通常は95%以上のシェアを持つ長野産が8月は3割も入荷を減らした。では、5月の輸入急増の理由は何か。東京市場で圧倒的主産地・茨城の入荷量は減っていないが単価は2.2倍になった。理由は明白で「需要増」である。業務用需要に引きが弱い月であるが、自宅に家族が揃って1日3回食べるのだ。季節に違和感もなく、皆で食べられる簡単食「夏の鍋」の登場だ。
【今後の対応】輸入先は中国である。中国が、日本からの注文に迅速に応えられるのは、韓国向けのキムチ用に、また日本の漬物メーカーからの契約生産もあるために、日本種のハクサイが周年生産されているからだ。すでに韓国は、キムチ需要の6割以上を中国からの輸入に頼っている(韓国メーカーによる中国工場生産品含む)。今年はコロナという特殊要因から需要構造が変わった。想定外の緊急事態に備えるためにも、中国産でリスクヘッジする用意が必要になる。

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