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今年の市場相場を読む

20年夏、輸入野菜に起きた 異様な動きを検証 ハクサイ/キャベツ/ニンジン/レタス類


【今後の対応】イモ・タマ・ニンジンは、日本の“国民食”であるカレーの主役たちだ。この3品目のうちいちばん不安定なのがニンジンだ。それでもお母さんたちがニンジンを買うのは、定番だからという以前に、ピーマンと並んで“子供に食べさせたい緑黄色野菜”の代表格だからである。千葉産の春ニンジンは10月以降の例年並みの天候推移で生育も順調である。厳冬の予想もあるが、この冬の需給関係も安定するはずで、20年の輸入量は8万t強に収まるか。

レタス類/珍しく夏に輸入増、高冷産地にも温暖化対応が喫緊

【概況】レタス類の輸入は、年明けの1、2月には恒例となった台湾産の春レタスが3000tを超えて入ってきた。しかし、通常ではありえない夏場に輸入が増えた。7月3.7倍、8月3.2倍だ。東京市場の入荷状況を参照すると、7月には1割減って46%高だったが、8月に至っては26%減の56%高という逼迫状態になった。夏には毎年米国からの輸入があり、東京市場にも入荷している。しかし昨夏は、主産地の長野・群馬の高冷地レタスが猛暑の影響を受けた。
【背景】7月、8月の高冷地レタスがダメージを受けた場合、どんな産地が出荷を増やせるのだろう。緯度が高い産地としては岩手や北海道がある。岩手は日照不足や猛暑の影響を受けたが、北海道は積極的に出してきた。平場の埼玉や静岡が出てくるのは洋菜に強い産地で潜在的な生産力があるからだ。それでも、85%程度のシェアがあるこの時期の長野の代替は難しい。業務用は自粛期間だとはいえ、カット野菜などの加工需要はかえって強まったのが輸入増の背景だ。
【今後の対応】レタスは今の日本では、家庭用としても加工・業務用としても、必需野菜。主な需要期といわれるのが夏場ではあるが、周年需要が形成されている。緊急時には米国などの供給力で補完できるが、冬春レタスについては、国内産地が安定感を欠いており、業務用需要者向け産地が台湾に形成されている。このケースは地元行政も支援して“責任をもって”供給責任を負っている。気候変動で、高冷地の産地が力を失うというシミュレーションをしておく必要がある。

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