ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

人生・農業リセット再出発

【令和】元号の名付け親

つい書いてしまった推薦文」……。黒木氏からの手紙を受け取ったとき、私には推薦文を書く気持ちなど毛頭なかった。ところが、何気なく『出過ぎる杭は打ちにくい!』のゲラを読み出したのがいけなかった。書いてあることの卓抜さ、人生の要諦が心憎いほど見事に言い当てられている。しかも、表現が誠に簡潔である。これは日本伝統の俳句の呼吸だ。
ずばり言って贅肉がついていない。もう一つ感心したのは、いつも言うことが具体的だ。たとえば、人生の目的の甘さを、タクシーに乗ったときの行先の明確さと比較するように、いささか勢いがよすぎるゾと思う反面、物事はすべて勢いダと思わせてしまう。よきかな、この勢い。ただそれを「出過ぎる」と言ってみる。30代にして著者がちょっとシャレなところもいい。(文学博士・中西進)
2020年夏、中西先生と再会するのは京都で一緒に食事をして以来30数年ぶりだった。90歳はとうに過ぎておられる御仁である。そのスーツ姿たるやカクシャクとして背筋はシャンとして口調もハキハキと力強い。どう見ても60代後半にしか見えない。「先生が“令和”元号を創られたのを知って感動しました!」。歴史的な人物と目の前で独占対話していることに完全に舞い上がった。私の拙速な言葉がけに博士はニッコリと穏やかに言われた。「元号は中西進という世俗の人間が決めるようなものではなく、天の声で決まるものですよ。考案者なんているはずがないでしょう」。

関連記事

powered by weblio