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特集

米政策パラダイムシフトを乗り切る スーパー稲作経営


どこでこんな稲作りを覚えたのかと質問したら、「現代農業!」。昔から現代農業は篤農家のバイブルだった。ボロボロになるまで読んだという。有機農業に目覚めたのだ。JAS有機にも挑戦したが7年ぐらいで減化学・減農薬栽培に切り替えた。面積拡大に伴い、除草作業に手が回らなくなったのだ。この切り替えで面積拡大に弾みがついた。
現代農業を通じて土着菌のことを徹底的に勉強した。いまから10年以上も前のことだが、川村さんと紀伊半島をドライブしたことがある。南端の潮岬を訪れたとき、何気なしに「お土産代わりに、このあたりの土着菌を持ち帰ったら」と冗談半分に持ちかけたら、手許にあったコンビニのレジ袋を片手に竹藪の中に入って行った。ほどなく竹藪から出てきて、レジ袋の中を見せ、「これが、はんぺん」と教えてくれた。土着菌のことである。岩手に持ち帰ってから、米ぬかを使って増殖、田圃に撒いた。そのときの川村さんの話はいまでも覚えている。「温暖化になると、暖かい地方の土着菌が働いてくれるときが必ずきます」。
それから数年後、冬に川村さんを訪ねる機会があった。田圃を見てほしいと頼むので、後をついていくと、白鳥が群がる田圃に案内された。
開口一番「川村さん、手前の田圃、餌を撒いておいたのでは」と冷やかしたら、こんな説明が戻ってきた。
「手前の田圃は、土着菌の餌になる有機質を投入しているので、地温も高くなり、地中に棲息する小動物が地表に出てきます。それを狙って白鳥がやってくるのです」

■すべて契約栽培 播種=販売完了
ハッピーライスは58ha。内訳は主食用米35ha、地元酒造会社向け非主食用米23ha。売り先はどちらも3社ずつ。すべて播種イコール販売完了という契約だ。それだけに収量と品質の安定は絶対命題。ボロボロに読んだ現代農業の成果が、いまに活かされたのだろう。川村巧さん、長いお付き合いの印象は、その稲同様に、田圃の宮澤賢治だ。
雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ慾ハナク決シテラズイツモシヅカニワラッテヰル

【スマート農業】
ワンオペ対応の省力化を実現
川合 雅記さん(川合農場 北海道秩父別町)

ウイズ・コロナやポスト・コロナの時代、儲かる米作りの切り札は、永遠のテーマ、省力化をスピード・アップするしかない。わが仲間に、徹底した省力化で41ha・38枚の圃場を家族だけでこなしているスーパー生産者がいる。家族といっても、奥さんとお母さんのことなので、機械を使っての作業でのマンパワーは実質1人と書いたところ、「秋の収穫期には妻がコンバインを乗りこなす」とご本人から訂正が入りました。それにしても、いかに北海道という恵まれた圃場条件とはいえ、41haを1.5人でこなすのは、紛うことなくグランプリ級。

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