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特集

米政策パラダイムシフトを乗り切る スーパー稲作経営


馬場専務が仕掛けた“地下工作”は全国知事会も動かした。11月6日、農林商工常任委員会の湯崎英彦委員長(広島県知事)が、リモート陳情した熊野正士政務官に対し、「備蓄米や海外援助米などにより新たに米の政府買い入れなどによる市場隔離の実施を」と要請。経緯を取材すると、コロナに関連した政策要求を都道府県から吸い上げたところ、「10には満たない知事から政府買い入れを求める要請がありました」ということだった。
それら知事は、福井県と同じような経緯での要請になったものと断定、JA全中の“地下工作”は、組織的、かつ完全隠密で展開されたことが明らかになった。

【系統新聞に載った前代未聞の全中批判】

第三次補正予算の最終まとめに入った段階で、「JA全中はいい加減にせよ」と、思わぬところから全中を諫める方がいた。誰あろう、自民党にあって農林関係議員を束ねる農業基本政策検討委員長の小野寺五典議員だ。主産地・宮城6区が選挙地盤。衆院7回当選で防衛大臣を2回務めたことがある。防衛族議員かなと思っていたが、いまや農林水産政策に大きな影響を持つ「9人いる党農林インナー」の一人。そして、米政策については党側の責任者でもある。
その農林インナーが予算案の決まる直前に、系統機関誌の農業協同組合新聞の紙面を借りて予算案に関係するJA全中の動きを批判するのは、前代未聞のことである。
その記事は、12月11日付けで配信された。第三次補正予算案が公表されるのは、その4日後。タイミングをはかって、小野寺議員は堪忍袋の緒が切れたと誰でも分かるタッチで、緊急買い入れを執拗に求めるJA全中を厳しく批判したのだ。
「今回、たとえば余剰米と言われるものをかりに買い上げ、それを飼料用米などに償却した場合、来年の作付けはやはり主食用を中心に行われてしまう懸念があります。そうするとまた結果として需給は緩んでしまう、ということにつながります。毎年、需給が緩んだものを国が買い上げ、それを飼料用米などにしていくということは、今の米政策として、やはりなかなか国民の理解が得られない政策になります。ですから、それは難しいということ、これは当初からの自民党としてのスタンスだったと思います」
おやっと思ったのは、最後の「当初からの自民党としてのスタンス」と、JA全中を諭すような文面になっていることだ。小野寺議員は、JA全中が仕掛けた“地下工作”のターゲットだった。そして「当初からの」というフレーズは、JA全中も、政府は緊急買い入れをしないということで理解していたはずだから、執拗に“地下工作”を繰り広げることは約束違反であり、もうここまできたら無駄な抵抗はやめよと、現場を扇動する馬場専務に投降を呼びかけたものに受けとれる。

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