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今年の市場相場を読む

コロナの年に家庭需要が支えた野菜類 ミョウガ/ベビーリーフ/ズッキーニ/ハクサイ

昨年2020年は後世にも残る「コロナの年」であった。あらゆる面で従来からの常識が覆された。食品消費構造の変化も激しい。安定的な需要を構成し、価格と相場を規定する加工を含む業務用需要が、「緊急事態宣言」発出に多大な影響を受けた。食材の野菜類などの需要が質・量ともに大幅に低下し、産地も流通業界も大きな試練の場に立たされた。その一方で「巣ごもり」のもと、1日3食の家庭食を用意せざるを得ない状況に追い込まれて、スーパーやコンビニ等で食材を購入する割合が急増。結果的には、業務用の食材が家庭需要に支えられる状況が出現し、過去10年間対比で増えた品目さえあった。

ミョウガ/高知が仕掛けた増産戦略で消費定着 想定外だった業務用需要不振を補完する

【概況】
東京市場におけるミョウガを、経済がバブルの沈静化後に安定期的に推移してきた2010年と、コロナ年の20年との10年間で対比させると、数量で4%増、単価では8%高となった。ほぼ9割を占める主産地高知が、消費拡大を仕掛けた春から夏にかけての需要期(4~8月で年間の約8割)を比べた場合は12%増加。20年は、7月の日照不足や8月の猛暑により、一部にトロケが発生し、全般に強含みで、9月には32%減り5割高になった。
【背景】
この8月も、年間でも入荷数量は前年より3~4%の微減だが、単価も3%安程度に収まっている。つまり、20年の春~秋にかけてあれだけ業務用需要が減ったのに、底堅い動きを見せた。なぜだろう。かつてミョウガは、主に料亭などの業務用の食材だったが、主産地高知では初夏から夏を告げる季節野菜としてアピール。増産体制を敷き、小売店頭で3本入りが100~200円で売れる商品開発をしたことで、数年前から一般商材として定着しつつあったのだ。
【今後の対応】
ミョウガは、ある種パクチーのように独特なクセがあって、人によって好き嫌いがある。しかし、日本の消費者も季節や物日などにこだわってハレとケを大切にする消費傾向が出てきており、インバウンドによる「和食」に対する高い評価とも相まって、一般家庭による固定需要が生まれてきている。ひと昔だったら和食店でしか使わない食材ミョウガが、産地の消費促進戦略と消費者のプチ贅沢気運の醸成によって、業務需要の不振を家庭需要が支えた。

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