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【新・農業経営者ルポ】
大規模経営こそ技術を語れ
- (有)イズミ農園 代表取締役 梅津鐵市
- 第200回 2021年03月22日
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いま、農業が面白い
「面白いのは、ここ5年くらいで、30代の若い連中がグループ組んで、広い面積をこなすようになっていることだ。この間も、熊本県菊池市で5人でゴボウを30haくらいやっているグループに、3年で300haにしろって言ったら、よしやるぞって。拡大意欲がすごく高くて、周りの農地が空いてきたから、規模拡大をあっという間にできる。こういう人間を育てないといけない」
山梨県北杜市のイズミ農園の事務所で、72歳の梅津はこう言って目を輝かせた。今回の取材は、直前まで実現するかどうかわからなかった。というのも、梅津は月に一度は長期の出張に出て、全国の農家に技術指導をするからだ。そろそろ出かけるから、取材を受けられるかどうかわからないと言われていたものの、梅津の出張のタイミングがずれ、幸運にも取材が実現した。
「一昨日は静岡県牧之原市で茶を50haやっている農家が、新しく畑を借りたと言うから、土を見に行った。その前日は、長野県塩尻市に行って、苗の作り方を指導していたんだ」
かつて有機農法にも取り組んだ梅津は「梅津農法」と呼ばれる独自の農法を確立し、全国の農家に伝授して回っている。その特徴は一言でいえば、減農薬・減化学肥料になる。ただし、減減栽培を志向しているわけではないという。
「そういうことはあんまり考えていないんだ。でも結果は、基本的に減減になっている。農薬にしても、11月に出荷するキャベツは、全然虫がいないから、1回しかかけていない。キャベツで農薬が1回で済むっていうのは、俺だって不思議だけど、丈夫なものを育てたら、そういうふうになるんだよ」
二価鉄と海水で土壌改良
梅津は、約500haを耕作する日本最大級の農業法人、黄金崎農場(青森県深浦町)の経営再建でも、梅津農法を使った。38年前に開発した二価鉄資材を手にしつつ、「これと海水で畑を直して、黄金崎農場の2億5000万円の売り上げを5年で5億円にした」といたずらっぽく笑う。二価鉄は不安定な状態にあるため、安定しようと酸素原子を奪ったり、電子を放出したりするとされる。この資材は、土中の病原菌を殺し、病気の発生を防ぐのに使う。
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梅津鐵市 ウメヅテツイチ
(有)イズミ農園
代表取締役
1949年2月、千葉県生まれ。71年、東京農業大学農業工学科農業土木専攻を卒業し、建設会社に就職。農業を志し、80年に退社。北杜市に移住し、30aから農業を始める。87年、泉農事組合を設立し、89年、(有)イズミ農園を設立。80年代末から、全国の農家に栽培の技術指導をし、契約を結んで集出荷するようになる。2005年には青森県の黄金崎農場の社長となり、経営の立て直しを図った。イズミ農園は現在、長男の大輔が生産の中心となり、レタスやキャベツを生産。鐵市は全国の農家に技術や経営の指導を行なっている。
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