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新・農業経営者ルポ

大規模経営こそ技術を語れ


よく行なわれる土壌消毒法は、病原菌だけでなく他の菌も殺してしまうため、悪影響もある。その点、梅津の二価鉄資材であれば、病原菌に効く一方で、他の菌は保たれるのだという。海水は、ミネラルにより土壌のバランスを整えるために使う。
「たとえば、銚子や三浦、知多半島なんかは、連作障害が少ない。台風で海からの潮が上がってきて、塩類の濃度障害をくらうこともあるけど、地面に落ちると、土のミネラルバランスが落ち着くんだ」
黄金崎農場に限らず、土中の微量要素が不足していたり、連作障害が出ていたりする農地に対しては、土の状態を見たうえで海水を入れるように勧めることが多い。農法の普及に加え、体力のある農家には経営をより前進させるよう発破をかける。
「鹿児島県でサツマイモを合わせて50haくらい作っている農家たちに、お前らこんなもんで済むと思うなよ、もっともっとやれと言ってきた。やりたいけど、病気が出て困っている、見てくれるかと言うから、2カ月に1回は見に行くと伝えてある」
鹿児島県内では、サツマイモのつる枯れやイモの腐敗をもたらす「サツマイモ病」が流行し、脅威になっている。梅津が開発した二価鉄資材を使いつつ、病気の蔓延を防ぐため、ジャガイモなどとの輪作も考えているという。というのも、大量のジャガイモが欲しいという実需を知っているからで、これは外食や量販店、商社などと広く付き合いのある梅津だからこそ、できることだ。
立派なコンサルティングだが、梅津はすべてボランティアでやっているという。「農家はタダで当たり前と思っているから、金を取れないんだよ」と豪快に笑い飛ばす。手弁当での後進の育成には、並々ならぬ情熱を注ぐ。
「契約栽培の概念は、皆わかっているから、昔と違って簡単」
梅津は1980年代から、すかいらーくを皮切りに外食産業との契約栽培を進め、自社だけでまかなえない分は、全国の農家に生産を任せていた。「契約栽培の概念を日本中で作って回った」わけで、当時からすれば、いまはやりやすいという。

就農2年目にいきなり大手と契約

ここで梅津の歩みを振り返りたい。194 9年に千葉県で生まれ、転勤族だった父の仕事に合わせて、幼いころは引っ越し続きだった。イズミ農園がある北杜市大泉町(旧・大泉村)には母の実家があってしばしば訪れたが、住んだことはなかった。転機は70年代に訪れる。建設会社のトンネル掘削の技術者だった梅津は、たまたま北杜市内の現場を担当することになり、飯場に住むよりはと、おじの家から通うことにした。

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