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新・農業経営者ルポ

大規模経営こそ技術を語れ


「こういう契約栽培をしないかと仲間を求めて、日本中歩いたな。そうやって、沖縄から北海道までネットワークができた」
当初は梅津自身が新規就農者で技術を磨く途上だったため、契約栽培できちんと利益を出し、経営を安定させることを教えて回った。
「そのころよく言ったのが、333 1だね」
これは梅津が掲げた販売戦略で、3割が契約栽培や直販、3割が市場との予約による相対取引、3割が中央卸売市場への出荷で相場通りの販売、残り1割は将来に向けて試作した野菜の販売という意味だ。山梨県内や静岡県、千葉県でも農地を借り、最大で75haほど作付けした。90年には販売戦略と栽培技術に共鳴する農家が、12道県の農家300戸に及んだ。ちなみに、梅津農法の技術指導をした農家は、1000を超す。
「いつも言ってきたのは、大規模に農業をするなら、値段を上げたらダメ。スーパーと同じで、利益が出るか、出ないかという価格で売っていく。そうすると、何が大事かというと、技術だ」
大規模化に伴って手が回らなくなり、収量が落ちたという話は少なくないが、大規模経営こそ収量を上げなければならないという。
「畑に植えたものが皆取れるのが一番いい。現実にそんなことはないけど、収量が6割で終わる人と、8割、9割まで持っていく人とは、利益が全然違う」
経営者はキャッシュフローさえ見ていればいいと考えがちだが、農業経営は技術こそ重要だというのだ。
「キャッシュフローを上げていくために何をするかという観点でしか、農業経営をとらえていない。畑の歩留まりを上げて経営をやろうっていう宣伝が、足らなすぎる。本来、農家から技術の話が出てこないとダメだ」
こう昨今の風潮にくぎを刺す。農家から引き合いの強い二価鉄資材も、元をたどれば自分の農園の病気に対処するために開発した。いま、特にリスクになるのが病気の蔓延で、大規模経営が被る影響こそ深刻だという。
「農業がものすごく面白くなっている。小さい農家でも、食えないという話じゃなくなっている。じゃあ、でかい農家で利益が出ているかというと、失敗したときの損失がでかい分、やばいよね。農業だと資本力を持っている経営体は、そんなにいないから」

堆肥の過剰投入に微量要素の不足

全国各地で土壌病害の発生が見られ、産地としての危機に陥る地域もある。梅津が見る現場では、堆肥の入れすぎが病気を招く場合が多いという。土壌の富栄養化が進むと病気の発生を助長するということは、時折本誌にも登場する東京農業大学の後藤逸男名誉教授も指摘している。

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