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特集

「ゲノム編集食品」として初めて届け出されたゲノム編集トマトのこれからを占う



【“プロシューマー”を入口に】

――メディアへのプレスリリースと同時に、貴社は家庭菜園向けに無料の苗の配布を受け付けられましたが、この取り組みに至った経緯を教えてください。
プレスリリースを配信した昨年12月11日から、ゲノム編集のトマト苗4株と、土壌改良材、肥料セットの無料配布を会社サイトで受け付けました。1週間で2000件近くの応募があり、5000件以上になったところで打ち切りました。通常、試作の種の場合は、多くても300件程度の申込数なので、かなり多いです。想定より、ポジティブな反応が数多くありました。
――応募者は、血圧の上昇を抑制するという機能、またはゲノム編集のどちらに反応していると思いますでしょうか。
応募の動機で「血圧を下げたい」と記した方が多くいらっしゃいました。GABAはアミノ酸なので、煮ても焼いても冷凍しても変性しません。当然副作用もありません。日本では、50歳以上の方の約半分が高血圧に悩んでいます。家庭菜園を楽しんでいる人に高血圧で悩んでいる人が多いのでは、と推測していましたが、やはり応募者の年齢層も高めでした。
――プロ農家向けではなく、家庭菜園向けとしたのはなぜでしょうか。
新しいタイプの種子を農家に持っていくと、「誰が買ってくれるの?」という話になります。スーパーなどの小売店は、新しいものを受け付けないケースがほとんどです。さらに、行政も「北海道では遺伝子組換え作物は作りません」など世間の風向きに乗ってしまいます。
そこで、農家であり消費者でもあって、さらにおもしろがってゲノム編集トマトを栽培するであろう「家庭菜園を楽しむ人」を入口にすることにしました。アルビン・トフラーが「第三の波」の中で、生産と消費とを一体化する生活者を「プロシューマー」(Producer:生産者とConsumer:消費者)という概念で紹介しました。今回の取り組みは、まさにプロシューマー向けです。
ゲノム編集トマトの苗を5000名に配布すると同時に、LINEを通じて病害虫対策など栽培管理のアドバイスを行なう予定です。われわれは、家庭菜園の悩みを解決するのも一つの責務ではないかと考えています。
――今後、家庭菜園からプロ農家へ展開するにあたり、何か展望はありますか。
プロシューマーたちは、ゲノム編集トマトを栽培する中で、良くも悪くもSNSで発信するのではないでしょうか。われわれは、すべて受け止めようと思っています。家庭菜園からの発信を受けて、農家の中でも栽培してみたい人が出てきます。また、家庭菜園のトマトは夏頃までしか収穫できないので、モニターの中で高血圧のために常備薬的に食べたいと思う方がいる場合、冬はわれわれと関係がある農家が栽培した高GABAトマトを直接販売したいと考えています。さらに、それを見た小売店が動き出し、流通に広がりを見せることを期待しています。

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