ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

スマート・テロワールの実践者たち

天地人の一致が生んだ耕畜連携の鏡


素人の筆者は、水田の畑地化というのは「固定的に何か他の作物用に換えてしまうものだ」というイメージを持っていたが、なるほど水田も含めて輪作することで、麦の裏作がもともとそうだったように、地味回復の自然の循環も産まれるわけだ。また密植されるトウモロコシは、ある程度育てば除草が不要なので、販価も低いがコストも低いという。
「一品目だけの、単位面積当たりの売上を増やすことにこだわらず、多品目の経営全体でみた収支を優先する。この考えを持てるかどうかが、トウモロコシ栽培に乗り出せるかどうかの関門です」
そう語る代表は、近隣農家にもトウモロコシ栽培を働きかけ、自身を含む3農業経営体で花巻子実コーン組合を設立。機械の共用や労働力の融通を図っている。組合全体の作付面積は15ha、出荷量は104tに成長した。

耕畜連携で地域内循環を再構築

盛川代表の視座には、周辺にある畜産家との「地域内耕畜連携」もあったという。
「我々畑作農家は、畜産廃棄物を堆肥に使っています。畑作農家から畜産家へも、飼料を還元できれば、と」
従来から小麦の藁は飼料用に売っていたが、トウモロコシは堆肥使用量が多いので、連携はさらに強化できる。
筆者が育った山口県の工場町には石油化学コンビナートがあって、ある社のある製品の副産物を、他社の他製品で再利用し尽くすという循環が内部で成立している。盛川代表の目指すような地域内耕畜連携こそ、シナジーを活かした農業コンビナートの構築と言えるだろう。
耕畜連携には、そうしたコストダウンにとどまらない、さらに深い意義もある。太古の植物の遺骸である化石燃料の中にあったCO2が、大気中に解き放たれることで、地球温暖化問題が発生している。これは広く言えば、「人間活動に伴う、物質循環のサイクル崩壊」の一つだが、それと同じジャンルで同様に深刻なのが、窒素の循環サイクルの崩壊だ。日本のような肥料や飼料の輸入国では、土壌や淡水の歯止めなき過窒素化が起きているのである。
日本の場合、年間1600万tもの飼料用トウモロコシを輸入しており、自給率はほぼ0%だ。味の良さで国内外に支持されている国産肉も、外国由来の窒素分で組成されている。ささやかでも国産飼料を供給することは、国内で完結する窒素循環の再構築であり、これ以上の窒素の移入を少しでも食い止めることにつながる。

飼料用米ではなくトウモロコシで直球勝負

関連記事

powered by weblio