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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

国際規格 ASTM D37によるヘンプの標準化の動き

1990年代後半から世界中でヘンプ栽培が復活するにつれて、ヘンプ由来の衣食住を担う多種多様な製品が生み出されてきた(図1)。一説によると、その数は2万5000種類とも言われている。ヘンプの最大の特徴は、茎、根、葉、花、種子とすべての植物部位がその原料になり、何も無駄にならないことである。市場調査会社によると、ヘンプ産業の世界的な市場規模は2019年度には約5000億円と推定され、25年には2兆8600億円まで拡大するという。
ヘンプに関する規格は国や業界団体によって違いがあり、ヘンプ産業が国境を越えてさらに発展するためには、その辺りの環境を整える「標準化」を行なう必要が出てきた。大麻草の標準化を進めるメリットは、合法化が進む国でも、遅れている国でも、国際規格を導入することで、(1)安全性、品質、信頼性を確保することができ、(2)国際規格はインフラとなるため、新興業界のサポートになり、(3)世界各国において法律および規制を検討するときの参照ツールになることである。

D37の大麻草の標準化は医療用・嗜好用分野から

標準化とは、さまざまな背景から生まれた多様なルールから共通の「取り決め」を定めることをいい、その「取り決め」を規格という。規格にはさまざまな段階があり、社内、団体、国家、地域、国際レベルに分類される(図2)。国際規格として有名なものには、国際標準化機構(ISO)が定めた品質管理のISO9000、環境管理のISO14000などがある。
大麻草の標準化に着手したのはISOではなく、世界最大級の民間規格制定機関ASTMインターナショナル(以下、ASTM)だ。前身は、1898年に鉄道のレールに用いる鋼の標準化に取り組んだ米国材料試験協会で、現在は148の委員会と、1万2700以上の標準化、140カ国以上の参加国、全世界に3万人の会員という世界最大級の組織になっている。制定してきたASTM規格が国際規格化した01年に、現在の名称に変更した。

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