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【土門「辛」聞】
仕入れ失敗を政府に転嫁するJA北海道中央会の裏工作
- 土門剛
- 第198回 2021年03月22日
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▽コストコ=1898円(札幌・松原米穀扱い)▽西友=1898円(神明扱い)▽イオン=1922円(PB商品・とまこまい広域農協指定)▽イトーヨーカ堂=2036円(木徳神糧扱い、5.25 kg2138円を5kg入りに換算)
北海道が誇るブランド米も形無しの安売り乱売合戦の様子がくっきりと浮かび上がってくる。北海道の米関係者が絶句しそうなのは、最安レースのトップを走るコストコ価格に、ホクレン出荷・神明扱いの西友価格が同着になったことだろう。
そして奇異に感じたのは、イオンのPB商品だ。価格表の横に「とまこまい広域農協指定」という説明があった。イオンと農協のコラボ商品のようである。農協も安売り競争を容認したのであろう。仕入れの失敗により供給過剰に陥っていることを示す格好のエピソードではないか。
ななつぼしの直近の相対取引価格は、2020年12月時点の1万5081円(玄米60 kg税込み)だった。収穫前に農協に提示したホクレンのJA概算金は1万3200円。その差1881円は、出荷・物流経費相当額なので、その販売価格ならホクレンにはほぼ利益は出ないとみた。
北海道産米の直近在庫は38.3万t(20年12月末現在)。米産出高から推定するホクレンの取扱いシェアは77%(18年度)だ。商人系集荷商は収穫直後に売却するので、その数字の大半はほぼホクレンの在庫分と推定した。在庫分の行き先は大手卸。ホクレンとの間で事前契約・複数年契約を結んでいるからだ。大手卸は、高額概算金で仕入れに失敗したホクレンの抱きつき心中(安売り乱売)の相手をさせられている印象を受けてしまう。
北海道が誇るブランド米も形無しの安売り乱売合戦の様子がくっきりと浮かび上がってくる。北海道の米関係者が絶句しそうなのは、最安レースのトップを走るコストコ価格に、ホクレン出荷・神明扱いの西友価格が同着になったことだろう。
そして奇異に感じたのは、イオンのPB商品だ。価格表の横に「とまこまい広域農協指定」という説明があった。イオンと農協のコラボ商品のようである。農協も安売り競争を容認したのであろう。仕入れの失敗により供給過剰に陥っていることを示す格好のエピソードではないか。
道産米の乱売合戦が始まった
ななつぼしの直近の相対取引価格は、2020年12月時点の1万5081円(玄米60 kg税込み)だった。収穫前に農協に提示したホクレンのJA概算金は1万3200円。その差1881円は、出荷・物流経費相当額なので、その販売価格ならホクレンにはほぼ利益は出ないとみた。
北海道産米の直近在庫は38.3万t(20年12月末現在)。米産出高から推定するホクレンの取扱いシェアは77%(18年度)だ。商人系集荷商は収穫直後に売却するので、その数字の大半はほぼホクレンの在庫分と推定した。在庫分の行き先は大手卸。ホクレンとの間で事前契約・複数年契約を結んでいるからだ。大手卸は、高額概算金で仕入れに失敗したホクレンの抱きつき心中(安売り乱売)の相手をさせられている印象を受けてしまう。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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