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イベントレポート

国産濃厚飼料シンポジウム~子実用トウモロコシの生産・利用の拡大に向けて~

トウモロコシの国際価格(シカゴ相場)は2020年9月以降、約7年振りに5ドル/ブッシェルを突破。海上運賃や為替変動の影響を受けて、濃厚飼料価格の高騰は当面続きそうな情勢である。そのなかで国産原料への切り替え気運が高まり、国産子実トウモロコシ生産の普及拡大の好機が訪れつつある。
このタイミングで2月5日に開催されたのが『国産濃厚飼料シンポジウム』である。当初は集会形式での開催が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンライン形式での開催となった。とりわけ子実用トウモロコシの生産・利用の拡大をテーマに掲げたシンポジウムで、200名を超える参加申し込みがあったという。

10a当たりの交付金は10万円超えの地域も

主催した日本草地畜産種子協会の野口政志会長の開会挨拶に続く基調講演には、酪農学園大学名誉教授の荒木和秋氏が登壇した。「子実トウモロコシ栽培の現状と意義」について、農業経済分野の専門家の視点から解説した。北海道での子実トウモロコシ生産に関わる詳細なデータは、関係者にとって興味深い内容だった。要点を下記にまとめた。
2018年の子実トウモロコシの輸入量は1580万t(3722億円)にのぼる。輸入トウモロコシの07年以降の価格高騰が、輸入飼料に依存した加工型畜産を主とするわが国の畜産に重くのしかかり、国産トウモロコシへの切り替えニーズが高まっている。しかし、長らく国内生産の普及拡大が進まない課題は、誰が生産拡大を推進するかであった。なかでも生産技術や流通(貯蔵・輸送)、市場価格、政策支援といった人為的条件が整っていなかった。ようやく普及してきた背景には政策支援がある。そこに至る過程で大きく貢献したのは、柳原孝二氏が代表を務める北海道子実コーン組合の生産者たちで、20年度にはその栽培規模は77戸・380haに拡大している。
政策支援の前提は、水田転作による子実トウモロコシ栽培であること。経営所得安定対策の水田活用の直接支払交付金に戦略作物助成として3万5000円/10aと、20年度から新たに水田農業高収益化推進助成として1万円/10aが支給されるからだ。そのほか、産地交付金は都道府県あるいは市町村で設定されるため、地域による差が大きくなる。北海道の水田転作が盛んな地域では、輪作作物導入加算や耕畜連携など、子実トウモロコシ栽培に支給される交付金が10a当たり10万円を超える事例も複数の市町村で見られた。小麦や大豆、ナタネとともに、地域格差は道内でも顕著である。

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